自己破産したことが官報に掲載される時期・タイミングを解説
借金が返せず、自己破産をすると官報に載ります。個人の自己破産の場合は、次の2回掲載されます。
- 破産の手続きが開始された時点
- 免責が許可された時点
これから、このことを詳しく解説します。
官報について
官報とは?
まず最初に、そもそも官報とはなんでしょうか?
辞書によると、官報は、次のような意味です。
法令・条約・予算・告示・国会事項・人事・叙任などを,国が一般国民に知らせるために独立行政法人国立印刷局から発行する日刊機関紙。
スーパー大辞林3.0
一言で表すと、政府の新聞というイメージです。
官報についての詳細は、官報を発行している国立印刷局の「官報のご案内」ページをご覧ください。
官報が見られる場所
官報は一体どこで見ることができるのでしょうか? それは次の2つです。
- 官報販売所(全国48か所)
- インターネット版官報
インターネット版官報では、直近30日分の官報(PDF)を無料で見ることができます。興味がある方は、どのようなものかはご覧いただければわかります。
官報の掲載回数は2回
最初に説明したように、個人の自己破産の場合、次の2つの時点で官報に掲載されます。
- 破産の手続が開始された時点
- 免責が許可された時点
自己破産は、破産法という法律で定められている法的な手続です。破産法は、次のように定めています。
この法律の規定による公告は、官報に掲載してする。
破産法10条1項
公告とは、国などが広く一般に知らせることです。
破産手続開始
掲載される理由
個人の自己破産の多くは、自己破産の申立てをした後、裁判所で破産手続が開始したと同時に破産手続が廃止されます。これを「同時廃止」または「同廃」といいます。破産の手続をするだけのお金を自己破産をする人がもっていないためです。
裁判所は、「同時廃止」の決定をすると、次のように破産法216条3項の定めによって公告をしなければなりません。つまり、官報に掲載しなければなりません。
裁判所は、第一項の規定により破産手続開始の決定と同時に破産手続廃止の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告し、かつ、これを破産者に通知しなければならない。
破産法216条3項
一 破産手続開始の決定の主文
二 破産手続廃止の決定の主文及び理由の要旨
官報には、自己破産の申し立てをした人の氏名と住所が掲載されます。掲載される理由は、お金を貸した人などにとって、自己破産の申立ては重要な意味を持つので、破産手続が開始されたことは知らせなければならないからです。
掲載される時期・タイミング
具体的な掲載時期は、裁判所が同時廃止の決定をした日の1週間から10日後の官報(本紙または号外)に掲載されるようです。
免責許可
掲載される理由
免責許可とは、お金を返済する責任を免れさせる裁判所の許可のことです。一言で表現すると、借金がチャラになることです。
裁判所は、免責許可の決定をしたときは、直ちに、その裁判書を破産者及び破産管財人に、その決定の主文を記載した書面を破産債権者に、それぞれ送達しなければならない。この場合において、裁判書の送達については、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
破産法252条3項
ここには、同時廃止のときのように、公告しなさいとは書いてありません。もしかして、官報に掲載されないのでは?と思った方もいるかもしれません。しかし、残念ですが、借金がチャラになったときも官報に掲載されます。
この法律の規定により送達をしなければならない場合には、公告をもって、これに代えることができる。ただし、この法律の規定により公告及び送達をしなければならない場合は、この限りでない。
破産法10条3項
詳しい説明は省略しますが、この破産法10条3項によって、お金を貸してくれた債権者に対して、免責されたことを官報に掲載して知らせることになります。官報に掲載することで、すべての債権者に郵送で知らせる手間が不要になります。
掲載される時期・タイミング
具体的な掲載時期は、免責許可の決定がされた日から2週間から3週間後の官報(主に号外)に掲載されるようです。
まとめ
以上のように、自己破産をしたときには、
- 破産手続が開始したとき
- 免責が許可されたとき
の2回、官報に掲載されます。
2回とも破産法という法律の規定によって掲載されます。そのため、自己破産をしたことが官報に掲載されないようにすることはできません。この点は頭に入れておいてください。
もっとも、債務整理の種類のうち、任意整理や特定調停は、それらを利用した情報は掲載されません。借金をなんとかしたいけど、官報への掲載は困る場合は、任意整理や特定調停をご検討してください。