弁護士前園進也の近影
弁護士前園進也

戸籍謄本を郵送で手に入れることができるってご存知でしたか? 戸籍謄本は、住民票より馴染みがないので、どのように手に入れていいのかわからないという方も少なくないと思います。ここでは、戸籍謄本が必要になった人向けに、簡単に戸籍謄本を手に入れる方法を紹介します。

戸籍謄本とは?

戸籍とは?

そもそも戸籍とはなんでしょうか? 戸籍とは、夫婦とその未婚の子どもについて、氏名、生年月日、続柄などを公に証明する公文書のことです。

氏名、生年月日は、住民票でも証明することはできます。が、住民票が一緒ではない場合は、戸籍で夫婦、親子、きょうだいなどの家族関係を証明することになります。

戸籍は、本籍地がある市区町村で管理されています。

戸籍謄本が必要なとき

戸籍謄本は、戸籍に記載されている内容をそのまま写した書類のことです。

戸籍謄本は、日常生活において、頻繁に必要になることはありません。必要になる場合として、次のようなものがあります。

  • 相続手続
  • 婚姻届、離婚届を提出するとき
  • 特別児童扶養手当の申請のとき
  • 家事調停を申し立てるとき
  • パスポートを申請するとき

住民票とは異なり、戸籍謄本を手に入れることは頻繁にはありません。ですので、いざ必要になったときに、どのようにして手に入れたらいいかよくわからないということがあるかと思います。

戸籍謄本の入手方法

すでに書きましたが、戸籍は本籍地のある市区町村が管理しています。そのため、戸籍謄本は、本籍地のある市区町村の役所でしか入手することはできません。

窓口

もっとも手っ取り早く戸籍謄本を手に入れる方法は、本籍地のある市区町村の窓口で申請することです。

ただし、本籍地のある市区町村が自分の生活圏にある場合は、役所の窓口に直接出向くことはできます。が、そうでない場合には、役所の窓口に行くことは現実的ではありません。

郵送

そこで、全国の役所では、郵送によって戸籍謄本の申請を受け付けています。本籍地が自分の生活圏にある場合はさほど多くないと思うので、戸籍謄本の入手方法は郵送が一般的ということになります。

戸籍謄本を郵送で手に入れる具体的な手順

それでは、戸籍謄本を郵送で手に入れる具体的な手順を解説します。

必要なもの

戸籍謄本を郵送で手に入れるために、必要なものは、次の4つが基本です。

  1. 申請書・請求書
  2. 定額小為替
  3. 切手を貼ってある返信用封筒
  4. 本人確認書類のコピー

2.から4.については全国共通です。しかし、申請書については、本籍地のある市区町村によって用紙が異なります(記入する内容はほぼ共通ですが)。戸籍謄本を郵送で手に入れるための申請書は、市区町村の役所のWebページからダウンロードできますので、「戸籍 郵送 ○○市」などとインターネット検索をすればすぐに見つかるでしょう。

定額小為替を手に入れる方法

定額小為替って聞き慣れない言葉で、どのようにして手に入れたらいいかわからないかもしれません。定額小為替の買い方については、YouTubeで詳しく解説していますので、ご覧ください。

なお、定額小為替ではなく、現金書留でも受け付けています。ただし、現金書留の方が定額小為替を利用する場合よりもかかる費用が高くなるのと、現金書留にしても定額小為替にしても、郵便局の窓口に行く手間は同じなので、定額小為替の方をお勧めします。

返信用封筒に貼る切手の額

除籍謄本や改正原戸籍ではなく、最新の戸籍謄本を1通手に入れる限りでは、返信用封筒に貼る切手は84円切手で大丈夫です。ただ、心配な方は+10円して、94円分の切手を貼っておけば間違いないでしょう。

本籍地と筆頭者の確認

戸籍謄本を手に入れる際に、よく問題となるのが、本籍地がわからないということです。戸籍謄本が必要になることはあまりないため、本籍地を覚えていないということはよくあります。また、親や夫などが本籍地を決めたので、自分はわからないということもあります。

そこで、自分の本籍地が簡単にわかる方法をお伝えします。それは、住民票を手に入れることです。自分の住民票を手に入れるときに、本籍地を表示されたものを発行してもらいます。そうすると、その住民票を見れば、正確な本籍地がわかります。

住民票には、本籍地だけではなく、戸籍の筆頭者の氏名(戸籍の一番上に記載されている人のことです)も表示させることができます。戸籍謄本を手に入れるときに筆頭者の氏名を書く必要があるので、住民票に筆頭者も記載してもらいましょう。

申請書・請求書の記入の仕方

戸籍謄本を郵送で手に入れるときの申請書・請求書の書き方を解説します。

申請書・請求書の用紙と一緒に記入例も役所のWebページにあるのが通常です。基本的には、その記入例に従って記入すればいいです。ただ、記入例は余計な記載もあるため、私の事務所があるさいたま市の申請書・請求書を例に具体的に説明します。

戸籍謄抄本等請求書のサンプル

名宛人

請求書の名宛人として、本籍地のある市区町村を記入します。

年月日

請求する年月日を記入します。この請求書を記入した日の日付で十分で、この請求書を投函する日である必要はありません。

本籍地

本籍地を記入します。丁目や番地はハイフンで略しても大丈夫です。

筆頭者

筆頭者の氏名を記入します。生年月日がわからない場合には空欄でも受け付けてくれます。

通数

必要な戸籍の種類のところに、必要な通数を記入します。最新の戸籍謄本が必要な場合は、戸籍謄本のところに記入してください。戸籍謄本と戸籍抄本は手数料(必要な定額小為替の額)が同じですので、戸籍抄本が必要だという事情がない限り、戸籍謄本で大丈夫です。

請求者の住所・氏名・連絡先

戸籍謄本を請求する人の住所、氏名(フリガナ)、連絡先を記入します。

住所は、本人確認書類に記載されている住所を記入してください。自宅住所以外の場所(例えば職場など)への郵送は一般的にしてもらえないのでご注意ください。

筆頭者と請求者の続柄

筆頭者と請求者との関係について、記載のあるものの場合は丸で囲み、それ以外の場合はその他の欄に記載します。

ここで注意すべきなのは、「本人・夫・妻・子・孫・父母・祖父母」と、それ以外については大きな違いがあります。前者の場合は、戸籍謄本を手に入れる目的が不当であることが明らかでない限り、戸籍謄本を手に入れることができます。しかし、後者(具体的には、きょうだい・おじおば・姪甥・いとこなど)の場合は、正当な理由がなければ戸籍謄本を手に入れることができません。

使途(使い道・提出先)

使途、つまり、請求する目的のことです。これについては、筆頭者と請求者の関係が「本人・夫・妻・子・孫・父母・祖父母」である場合、不当な理由であることが明らかでなければ、戸籍謄本が発行されます。例えば、「相続人の確認」程度で十分です。また「家系図の作成のため」でも大丈夫でしょう。

他方、筆頭者と請求者の関係が「きょうだい・おじおば・姪甥・いとこ」の場合は、正当な理由をしっかり書く必要があります。正当な理由の例として、何らかの権利行使のために必要であるとか、公的な機関に提出する目的などがあります。

投函

最後に、申請書・請求書、定額小為替、返信用封筒、本人確認書類のコピーを、本籍地のある市区町村の役所に郵送します。郵送先は、その役所のWebサイトや、申請書・請求書に記載されています。

おわりに

以上が、戸籍謄本を郵送で手に入れる方法の解説です。この記事を読むことで、迷わずに戸籍謄本を手に入れることができれば幸いです。