動画で解説
療育とは?
「療育」という言葉を聞いたことがありますか? 辞書によると、次のような意味になります。
障害児が医療的な配慮のもとで育てられること。
日本国語大辞典
具体的には、身体障害、知的障害、発達障害がある子どもが、幼稚園や学校とは別の施設でその子どもに合ったやり方で、治療や教育を受けることです。
私は、Twitterで障害児を育てている親御さんをたくさんフォローしています。障害者のための福祉サービスがよくわからないため、なかなか療育につながることができないという声をよく目にします。そこで、全国共通のルールである法律には、療育についてどのように定められているかをまとめてみました。
自宅で暮らす障害児(特に小学生になる前)の療育についての法律の規定をまとめてみると、次のようになります。
療育は大きく分けて2種類
いわゆる「療育」には、次の2種類あります。
- 施設に入るタイプ
- 施設に入らずに通うタイプ
療育について定める「児童福祉法」という法律では、
- 障害児入所支援(児童福祉法7条2項)
- 障害児通所支援(児童福祉法6条の2の2)
といいます。
このページでは、自宅で過ごす障害児に絞って説明します。障害児入所支援については別の機会に解説したいと思います。ごめんなさい。
施設に通って受けられるサービス
通うタイプ(障害児通所支援)には、大きく次の3つがあります(児童福祉法6条の2の2)。
- 児童発達支援(基本型、医療型、居宅訪問型があります)
- 放課後等デイサービス
- 保育所等訪問支援
利用者が多いのが児童発達支援です。一般的に「療育」がイメージするものは、これのことです。
このページでは、小学校に上がる前の障害児が一番利用しているであろう児童発達支援(基本型)を中心に解説します。その他の障害児通所支援のサービスについては別の機会に解説したいと思います。ごめんなさい。
児童発達支援
児童発達支援の意味は、次のとおりです(児童福祉法6条の2の2第2項)。
- 障害児を児童発達支援センターなどに通わせて
- 日常生活における基本的な動作ができるように指導
- 知識やスキルを身につけさせる
- 集団生活ができるための訓練などのサービスを提供すること
要するに、幼稚園や保育園とは別の療育施設に定期的に通って、その子に必要な療育を受けられるサービスのことです。幼稚園のように朝から午後まで通えるところと、時間制で通うところなどがあります。

児童発達支援センター
児童発達支援を受けられる施設は、次の2つがあります(児童福祉法6条の2の2第2項)。
- 地域の中核的、専門的機関である児童発達支援センター
- 児童発達支援事業者

誰が児童発達支援をしてくれるの?
児童発達支援は、誰が提供してくれるのでしょうか?
基本的には、民間業者(社会福祉法人やNPO法人、株式会社など)がサービスを提供します。 公立の児童発達支援事業者もあるかもしれません。が、多くは民間業者です。
そのため、親などの保護者は、数多く存在する事業者の中から、子どもに合った業者を見つける必要があります。ちなみに、市町村は、公平さのために、どこの業者がいいか、どこが評判がよくないかについては、教えてくれません。
福祉サービスを提供する側と、される側で、圧倒的に提供される側(提供を受ける側)に情報が少ないです。これは情報の非対称性と呼ばれる現象です。このサイトでは、この非対称性を埋めるためにも、福祉サービスの提供を受ける側にとって役に立つ情報を提供していきたいと思います。
市町村の役割
実際の支援は民間業者が提供するとして、行政は何をするのでしょうか?
市町村がすることは、次のとおりです(児童福祉法10条)。
- 実情の把握
- 情報提供
- 相談、調査、指導
- 支援の費用の支払い
- 4の申請のために必要な調査
5は障害児相談支援業者へ委託することが多いので、市町村で重要なのは、4とそのために必要な受給者証の発行になります。
都道府県の役割
他方、都道府県のすることは、次のとおりです(児童福祉法11条)。
- 市町村間の調整、情報提供、市町村職員の研修
- 広域的な実情把握
- 専門相談
- 専門的調査、判定、指導
- 児童相談所の設置運営
- 児童発達支援事業者の指定など

児童発達支援を受けることができる子ども
療育(児童発達支援)を受けられる児童はどのような子どもでしょうか?
児童福祉法によると、次の4つのタイプの児童が受けられます(児童福祉法4条2項)。
- 身体障害児
- 知的障害児
- 精神障害児(発達障害児)
- 難病患児
児童福祉法に明確には書いていませんが、厚生労働省によると確定診断が出ていない場合や療育手帳等がなくても、主治医、市町村の保健センター、児童相談所が療育の必要があると判断すればOKです。

受給者証の取得
療育(児童発達支援)サービスを受けるためには、市町村に受給者証を発行してもらう必要があります。受給者証がないと自費で利用料を負担しなければなりません。
受給者証取得(受給決定)までの一般的な流れは、次のとおりです(児童福祉法21条の5の6、児童福祉法21条の5の7)。
- 市町村に申請
- 障害児支援利用計画案の作成(障害児相談支援事業者にお願いすることが多い)
- 市町村職員等による聞き取り調査
- 2の計画案の提出
- 支給の決定
障害者手帳や療育手帳などがない場合、市町村が、主治医、保健センター、児童相談所の意見を聞くというステップが4.と5.の間にあることもあります。

療育の費用はいくら?
幼稚園などと同じく無償です。
ただし、給食ありの療育における食費や、日用品費についての実費は無償化の対象外です。
もっとも、無償といっても、受給者証は必要ですのでご注意ください。無償化の期間については、受給者証に記載されているので、確認をしてください。

もっとも、負担額には上限があります。一般的な収入の家庭では、月4600円以上は負担しませんのでご安心ください。
療育についての相談先はどこがいい?
このページの解説を踏まえると、児童発達支援センターがある地域は、同センターにご相談ください。なぜなら、児童発達支援センターは、地域の児童発達支援の中核機関だからです。なお、市町村職員は、障害児支援の専門的知識を有しているとは限らないので要注意です。
児童発達支援センターがない地域の場合は、療育(児童発達支援)もしていて、かつ、障害児相談支援事業もしているところを探してください。なぜなら、療育を受けるためには、障害児支援利用計画案が必要で、上記障害児相談支援事業をしているところは、計画案を作成できます。そのため、受給者証の申請についても経験豊富と考えられるからです。