はじめに

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相談者
うちの子どもは、自閉症スペクトラム障害です。私たちが死んだ後のために、私たち親がやれることのひとつとして、お金に困らないようにしたいと思っています。
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弁護士
お金は大事ですので、よくわかります。
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相談者
ただ、預貯金として残しても、低金利ですのでほとんど増えません。途中で預貯金がなくなるのも心配です。なにかいい方法があればいいのですが。
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弁護士
障害者扶養共済制度(しょうがい共済)の利用をご検討してみたらいかがでしょうか?
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相談者
共済ですか? それはどのような制度なのでしょうか?
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弁護士
それでは、障害者扶養共済制度(しょうがい共済)について解説します。

障害者扶養共済制度(しょうがい共済)とは?

障害者扶養共済制度(しょうがい共済)とは、障害のある子をもつ親などの保護者が、毎月掛金(1口9,300円から23,300円 最大2口まで)を支払うことで、親などが死亡または重度の障害になった場合、障害のある子どもが亡くなるまで、毎月2万円(2口の場合は4万円)の年金がもらえる制度です。つまり、親亡き後の心配を軽減させる制度ですね。

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相談者
子どもが亡くなるまで、ずっともらえるというのは安心ですね。
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弁護士
障害者扶養共済制度(しょうがい共済)には、他にも注目すべきメリットがあります。

障害者扶養共済制度(しょうがい共済)のメリット

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弁護士
私は、障害者扶養共済制度(しょうがい共済)のメリットのうち、次の3点が大きいと思っています。
  1. 掛金は全額が所得控除されて、所得税や住民税が減る。
  2. 障害のある子が生活保護になっても、収入とは扱われません。
  3. 親が早くに亡くなったときの備えになります。

掛金全額の所得控除

障害者扶養共済制度(しょうがい共済)の掛金は、全額所得控除されます。その結果、所得税や住民税が減ります。

お金を預貯金で残しても、所得税や住民税は減りません。また、民間の生命保険の保険料は所得控除されますが、その対象は一部で節税効果は少ないです。所得税や住民税を支払っているご家庭の場合、障害扶養共済制度(しょうがい共済)の掛金は、節税により実質的に減額されたのと同じです。

生活保護の収入認定されない

親御さんが親亡き後のことを考えて、お金を残しても、残したお金が尽きてしまうことはあると思います。仮にそうなると、生活保護を受ける可能性が出てきます。生活保護を受けると、毎月保護費が支払われます。

生活保護を受ける人に収入がある場合、保護費から収入を引いた額に保護費が減額されます。例えば、無収入であれば14万円ほどもらえる保護費ですが、毎月5万円の年金などの収入があると生活保護費は9万円になります。これが原則です。

しかし、障害者扶養共済(しょうがい共済)の年金は収入とは扱われません。そのため、14万円の保護費が毎月もらえる場合、障害のある子は、14万円プラス2万円(または4万円)を生活費として使えることになります。

親が早くに亡くなった場合に安心

一家の大黒柱が長生きすれば、親亡き後に備えてお金を多く貯めることができます。また、親が長生きすれば、親亡き後から障害のある子が生涯を終えるまでの期間は短くなります。

しかし、病気や事故などで、まだまだ働き盛りのときに、親が亡くなることがないわけではありません。万が一親になにかあったときに、障害者扶養共済(しょうがい共済)に加入していれば、毎月2万円ないし4万円のお金を残すことはできます。親が早くになくなるリスクへの対策としても障害者扶養共済(しょうがい共済)はメリットがあります。

障害者扶養共済(しょうがい共済)のデメリット

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相談者
障害者扶養共済(しょうがい共済)にデメリットはないんですか?
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弁護士
一つは、途中で掛金が支払えなくなって脱退することになった場合、支払った掛金はほとんど戻ってきません。掛金の免除されるには20年間が必要なので、掛け金を20年間支払えるかどうかを慎重に検討する必要があります。
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相談者
うちは大丈夫かしら…。
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弁護士
地方自治体によっては生活が苦しい方には掛金を減額しているところもあります。
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相談者
他にデメリットはありますか?
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弁護士
55歳以上になると、掛け金が1口2万円を超えます。そのため、親亡き後の期間が20年未満だと預貯金や生命保険より、子どもに残せる総額が減る可能性があります。そのため、障害のあるお子さんの健康状態も加入する際にはちゃんと気をつけた方がいいでしょう。

加入要件

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相談者
デメリットがないわけではないですが、良さそうな制度ですね。うちも加入できるでしょうか?
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弁護士
加入の要件は、次のとおりです。

子どもの障害の要件

  1. 知的障害
  2. 身体障害者手帳1級から3級を持っている方
  3. 統合失調症、脳性麻痺、進行性筋萎縮症、自閉症、血友病などの病気の方で、上の1.と2.と同程度の障害がある人

お子さんの障害が、この3つのタイプに当たって、将来自立した生活が難しいと認められることが必要です。

親などの保護者の要件

  1. 65歳未満
  2. 特別な障害や病気がなくて、生命保険に加入できる健康状態

父母、配偶者、祖父母、きょうだいなどの保護者が、この2つの条件をクリアする必要があります。

注意点

なお、障害のある子1人に対して、加入できる保護者は1人です。障害のある子が3人いる方は、両親だけでは3人分カバーできません。このような場合には、親族にも協力してもらう必要があります。

掛け金

障害者扶養共済制度(しょうがい共済)の掛け金は、次の表のとおりです。なお、保護者の年齢は、加入する年度の4月1日時点での年齢です。

保護者の年齢掛け金の月額(1口)
35歳未満9,300円
35歳以上40歳未満11,400円
40歳以上45歳未満14,300円
45歳以上50歳未満17,300円
50歳以上55歳未満18,800円
55歳以上60歳未満20,700円
60歳以上65歳未満23,300円

このように保護者の年齢が若ければ掛け金は安くなります。

掛け金の免除

障害者扶養共済制度(しょうがい共済)の掛け金は、親などの保護者が亡くなるまで払い続ける訳ではなりません。掛け金は一定の条件をクリアすると免除されます。その条件は、次の2つです。

  1. 65歳以上
  2. 掛け金を20年間以上支払っていること

仮に、親が30歳のときに加入すると、65歳になるまで35年ほどかかります。掛け金の総額は、9300円×12か月×35年=390万6000円となります。

他方、44歳で加入すると、65歳になるまで21年です。掛け金の総額は、14,300円×12か月×21年=360万3600円となります。

また、65歳で加入すると、20年間掛け金を支払います。掛け金の総額は、23,300円×12か月×20年=559万2000円となります。

このように、何歳のときに加入するかで掛け金の総額が変わります。したがって、総額がもっとも安くなる年齢は何歳なのかを加入の前に検討した方がよいでしょう。

参考資料

厚生労働省が「障害者扶養共済制度案内の手引き」を作成しています。参考になるので興味がある方はご覧ください。

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障害のある子どもにお金を残すそのほかの方法については、「障害のある子に財産を残す4つの方法」をご覧ください。