生命保険で障害のある子に財産を残す

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相談者
私たちには、知的障害のある子どもがいます。私たちが先にいったときに、子どもがお金に困らないように、生命保険をかけようと思っています。
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相談者
親亡き後の備えということですね。
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相談者
はい、そうです。ただ、保険は複雑でよくわからないので、子どもに財産を残す方法として、生命保険でいいのか自信がありません。
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相談者
それでは、親亡き後の備えとしての生命保険について、メリット、デメリット、注意点について解説します。

保険の基礎知識

生命保険の説明に入る前に、理解しておきたい保険の基礎知識について、最初に説明します。

3種類の保険

保険には、大きく分けて、次の3つのタイプがあります。

  1. 生命保険(第1分野)
  2. 損害保険(第2分野)
  3. 傷害疾病定額保険(第3分野)

生命保険とは?

生命保険とは、人の生存または死亡に関して、一定額の保険金が支払われる保険をいいます。

生命保険というと、死んだ時に保険金が支払われるものというイメージがあるかもしれません。しかし、人がある時点で生きていた場合に保険金が支払われるものも生命保険といいます。例えば、学資保険や個人年金などです。

損害保険とは?

損害保険とは、ある偶然の事故による損害を埋め合わせる保険をいいます。

親亡き後の備えのために、損害保険を利用することは通常ありません。その一番の理由は、偶然の事故には病気は含まれないため、病気で亡くなった場合には、損害保険金が支払われないからです。

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相談者
あくまでも親亡き後という目的には、損害保険を利用しないというだけで、障害のあるお子さんがいる親御さんは、損害保険には加入しておいた方がよいです。

傷害疾病定額保険とは?

傷害疾病定額保険とは、聞き慣れない言葉だと思います。ただ意味はそんなに難しくありません。ケガや病気になったときに、一定額の保険金が支払わられる保険のことです。例えば、ガン保険や医療保険がそうです。

この保険は、万が一の病気やケガによる多額の出費や収入の減少に備えるものなので、親亡き後に財産を残すという目的では通常利用しません。

契約者、被保険者、保険金受取人

保険には、保険会社の他に、次の3つの人が登場します。

  1. 保険の契約者
  2. 被保険者
  3. 保険金の受取人

保険の契約者

保険の契約者とは、保険会社と保険の契約を結ぶ人のことです。保険の契約者は、決められた保険料を保険会社に支払います。

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相談者
親亡き後の備えという目的ですと、親御さんが保険の契約者になります。

被保険者

被保険者は、簡単にいうと保険の対象となる人のことです。

例えば、ご自身が死亡した時に保険金が支払われる契約の場合は、ご自身が被保険者となります。また、配偶者が病気になった時に入院費用が支払われる契約の場合は、配偶者が被保険者となります。

保険の契約者と被保険者が一緒の場合もあれば、違うときもあります。また、被保険者が複数という場合もあります。

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相談者
親御さんが亡くなった時を想定していますので、親御さんが被保険者になります。

保険金の受取人

保険金の受取人とは、文字どおり、保険金を受け取る権利がある人のことです。

保険金の受取人は、保険契約を結ぶ際に、保険の契約者が指定し、また、いつでも変更できます。

なお、損害保険には保険金の受取人を指定することはなく、被保険者が保険金を請求し受け取ることになります。

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相談者
親亡き後の備えという目的ですと、障害のあるお子さんを保険金の受取人に指定することになります。

死亡保険と親亡き後

死亡保険とは?

生命保険を利用して、親亡き後の障害のあるお子さんに財産を残す場合、被保険者である親御さんが死亡または重度の障害を負った場合に、保険金が支払われる死亡保険に入ることになります。

定期保険と貯蓄型

死亡保険には、親御さんが働き盛りのときに亡くなる場合に備えて、多額の保険金が支払われる「定期保険」と、支払った保険料の合計額と同じかやや増えた保険金が支払われる「貯蓄型の死亡保険」があります。

定期保険は、1000万円以上の多額の保険金がもらえる可能性はあるものの、定期保険の契約期間中に、死亡や重度の障害を負わない限り、保険金はもらえません。したがって、親亡き後に確実に財産を残す方法としては使えません。

他方、貯蓄型の死亡保険は、支払った保険料の合計金額と同等のお金を確実に残せます。

したがって、親亡き後の備えとして、基本的に検討するのは、貯蓄型の死亡保険だけということになります。

しょうがい共済の紹介

親亡き後に備えてに特化した生命保険があります。それは公的な生命保険である「しょうがい共済(障害者扶養共済制度)」です。ご関心がある方は、「親亡き後に障害のある子にお金を残す方法〜しょうがい共済」をご覧ください。

貯蓄型の死亡保険のメリット

生命保険の一番のメリットは、保険金の受取人、つまり、障害のあるお子さんに、保険金全額が支払われることです。

遺言で財産を残す場合、障害のあるお子さんにきょうだいがいると、親御さんの財産のすべてを渡すことができない場合があります。この点が、遺言にはない生命保険(死亡保険)のメリットということになります。

貯蓄型の死亡保険のデメリット

お金しか残せない

生命保険はお金しか残せないため、不動産や貴金属、株式などがある場合は、遺言、生前贈与、信託を利用しなければなりません。

お子さんが死亡保険金を請求しなければならない

死亡保険金は、被保険者が死亡した事実や保険金の請求を保険金の受取人がしなければなりません。請求せずに放置しすぎると保険金がもらえなくなる場合もあります。

知的障害のあるお子さんの場合、この保険金の請求自体ひとりではできないかもしれません。

この点、遺言や信託の場合、遺言執行者や信託銀行などが財産を移す手続をすることになるので、安心です。

最後に

親亡き後に備えとして、一定のお金を障害のあるお子さんに確実に残すことを重視する方は、生命保険(貯蓄型の死亡保険)の加入をご検討ください。

しかし、保険金は、簡単にいうと、親御さんの支払った保険料合計に運用利回りを足した金額から、保険会社の費用を差し引いたものです。したがって、運用利回りと保険会社の費用によっては、他の方法で残した方がお子さんに残す金額が増える場合があります。この点は慎重にご検討ください。