はじめに
このページでは、障害のある人が障害年金と工賃だけでは経済的に自立できない現状を紹介したうえで、その対策として親が障害がある我が子のために財産を増やして残すイロハについて私の考えを説明しています。
障害年金と工賃だけでは生活できない
障害のあるお子さんを持つ親御さんの心配
障害のあるお子さんをもつ親御さんにとって、大きな心配の1つは、お子さんがお金に困らずに生きていけるかかではないでしょうか? お子さんが、知的障害や発達障害、精神障害でフルタイムで働くのが難しい場合には、特にそうだと思います。
フルタイムで働けない障害のある人の収入源は、
- 障害年金
- 工賃
の2つが一般的だと思います。
確かに、障害があっても文学的・芸術的才能を伸ばして、アーティストとして活躍している障害者はいます。しかし、しかしそのように活躍する人はごく限られています。
障害年金と工賃の合計額
障害年金は月額いくらもらえるかご存知でしょうか? 2020年現在で、次のとおりです。
- 障害年金1級 約84,000円
- 障害年金2級 約65,000円
では、就労継続支援B型でもらえる工賃の月額はいくらかご存知ですか? 厚生労働省によると、2018年の月額平均工賃は、
約16,000円
です。
つまり、障害年金と工賃の合計額は、次のとおりになります。
- 重度の障害がある場合 約10万円
- 中等度の障害がある場合 約8.1万円
生活保護費
参考までに、生活保護で支給される金額について紹介します。政令都市であるさいたま市に、賃貸アパートで一人暮らしをする場合、次のようなお金が支給されます。
- 生活扶助 約79,000円
- 住宅扶助 45,000円
- 合計 約12.4万円
なお、生活扶助とは、簡単にいうと生活費の支給です。住宅扶助とは、家賃の補助です。
生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。しかし、障害のある人の収入は、生活保護費より少ないので、健康で文化的な最低限度の生活を送ることができないことを意味します。これが、障害のある人の現状といえます。
この現状への対策
このような現状に対して、国や地方自治体、障害のある人の家族、支援者は、工賃を増やす取り組みをしています。しかし、大幅な工賃増額は実現していません。
親としてできること
このような現状を踏まえて、障害のある我が子に対して、親としてできることは、このような現状を国や社会に訴えて改善してもらうことのほかには、障害がある我が子が経済的に自立して生きていけるように、障害年金と工賃では足りない部分を補ってあげることぐらいでしょうか。
お金を増やして財産を残すためのイロハ
収入を増やして支出を減らすこと
お金や貯蓄を増やす方法は、当たり前の方法しかありません。それは、収入をできるだけ増やして支出をできるだけ減らすことです。
収入を増やす方法と支出を減らす方法の全体像をまず把握しておきましょう。なぜなら、そうすることで、漏れをなくすことができます。

収入を増やす方法
収入を増やす方法は、次のとおり、大きく分けて2つあります。
- 働いて収入を増やす方法
- 働かずに収入を増やす方法
働いて収入を増やす方法
働いて収入を増やす方法も、次のように、2つに分けられます。
- 本業の収入を増やす
- 副業を始める
もっとも、本業の収入を増やすと言う方法は、できるのであるなら、すでにそうしているはずなので、そう簡単にはいかないかと思います。
ですので、働いて収入を増やす方法で、現実的なのは副業を始めることです。ただし、本業が忙しくて、副業を始めることができない人もいるかと思いますが。
働かずに収入を増やす方法
働かずに収入を増やす方法も、次のように大きく分けて2つあります。
- 元手を利用する
- 元手がない場合
元手を利用して収入を増やす方法は、次のようなものが例として挙げられます。
- 預貯金
- 貯蓄型の生命保険
- 投資
- ギャンブル
なお、現在のような超低金利時代において、普通預金や定期預金などで収入を増やすといっても、微々たるものなので、あまり現実的ではありません。
また、ギャンブルはハイリスクすぎて、お勧めできません。
次に、元手がなくても収入が増える場合があります。それは次のような場合です。
- 相続
- 贈与
- 借金
相続と贈与は、自分でどうこうできる話ではないので、あまり考えてもしょうがありません。
借金は、確かに一時的に収入は増えます。しかし、利息を超えるだけのお金をプラスで生み出さなければ、支出が増えるだけです。
まとめ

収入を増やす方法として、現実的なのは、副業か、金融商品(預貯金、保険、株式、投資信託など)で増やすか、または、その両方ということになります。
支出を減らす方法
支出を減らす方法は、シンプルに節約をすることです。つまり、家計の支出を明らかにしたうえで、生活の質を下げない範囲で、さまざまな方法を駆使して支出を減らします。
固定費と変動費
家計の支出に関する項目は、次のように大きく2つに分けるのが一般的です。
- 固定費
- 変動費
固定費と変動費の意味は、会計上の定義と、節約という文脈では異なります。ただし、固定費と変動費を明確に区別することに実益があるとは思えません。
ですので、ここでは、固定費を毎月の支出額に大きな変動がない支出項目を意味し、変動費は毎月の支出額がやりくりやその月の状況によって大きく変動する支出項目という程度での区別で使用します。
固定費については、一度減らすとその効果は長く続くので、支出を減らすには固定費から手をつけるとよいと一般的には言われています。

家計の支出項目
固定費に含まれる家計の支出項目は、次のとおりです。
- 住居費(家賃、住宅ローン等)
- 通信費
- 教育費
- 税金や社会保険料
- 民間の保険料
- 借金の返済
次に、変動費含まれる支出項目は次のとおりです。
- 食費
- 日用品費
- 被服費
- 交通費
- 水道光熱費
- 医療費
- 交際費
- 娯楽費
変動費は、やりくり次第では大幅に支出を減らすことができます。ただし、減らしすぎると生活の質が低下しますのでやりすぎにはご注意ください。
最後に

以上で、障害のある子に財産を残すための初歩的な解説です。今後は、法的な専門知識や私自身の実践に基づいて、支出を増やす方法や、支出を減らす節約術について、紹介したいと思います。例えば、だれでも簡単に始められる「ポイ活」や、最近始めた投資信託、駆け出しの弁護士のときから実践している節税などです。