保険って必要?

保険って種類が多くて、

  • 必要なのかわからない
  • 何に入ればいいのかわからない

とかつて私も思っていました。しかし、弁護士になって保険法という法律を勉強して、保険って保険商品はたくさんあっても、意外とシンプルなんだとわかりました。そこで、保険に加入する必要があるか否かについて、私の考えを書きたいと思います。

結論

保険は3種類

保険の種類は、次の3つです。

1 損害保険
2 生命保険
3 傷害疾病定額保険

日本国内の主要な保険商品は、この3種類のどれかに当てはまります。

損害保険は加入した方がよい

保険に入るべきかどうかについて、ざっくりいうと、損害保険は万が一に備えて1つは入った方がよく、それ以外の生命保険と傷害疾病定額保険は特に必要があれば入るという程度のものです。

損害保険には入った方がいい理由は、不注意で他人にケガをさせたり、他人の物を壊したりするなどして損害を与えたときに、場合によっては百万、一千万単位のお金を支払うことになります。損害保険に入っていないと、自分で働いたり財産を処分したりして全額を払う必要があるからです。そのようなことになったら、他人の人生だけではなく、自分や家族の人生も大きく変えることになりかねません。

損害保険以外は特に必要があれば

他方、生命保険は、基本的に自分や家族にプラスの財産を生み出すものです。プラスの財産を生む方法は、他にもたくさんあり、生命保険が常にお得とはいえません。

傷害疾病定額保険(代表的なのが医療保険やがん保険)については、国民皆保険の実現により、(国民)健康保険で広くカバーされています。そこでカバーされていない部分を傷害疾病定額保険で保障することが、多くの人に必要といえるか疑問です。

損害保険

損害保険とは?

3種類の保険について、具体例をまじえて説明します。まず一番わかりやすい損害保険から解説します。

損害保険とは、一定の偶然の事故によって生じた損害を穴埋めする保険です。

損害の種類と個人賠償責任保険

損害保険における「損害」は、自分がケガしたり、自分の物が壊れたりすることだけではなく、他人をケガさせたり、他人の物を壊したりした場合の治療費等の支払いも含みます。自転車や自動車で他人にひどいケガや後遺症が残るようなケガをさせたり、または、自宅の火事が近隣に延焼すると、数百万、ときには数千万円の損害賠償をする必要があります。

自分の身体や物に対する損害については、傷害保険、自転車保険、自動車保険、火災保険、地震保険、海外旅行保険などで、いざというときに備えます。他人の身体や物に対する損害については、個人賠償責任保険でカバーされます。なお、個人賠償責任保険は、傷害保険や自転車保険などとセットになっていることが一般的です。

損害保険の保険料

損害保険の保険料は、基本的に掛け捨てです。掛け捨てということは、途中で解約しても、契約期間が終わっても、支払った分の保険料は戻ってきません。つまり、解約返戻金や満期保険金はありません。したがって、損害保険に加入することに資産価値はありません。

その代わりに、掛け捨てであるため、保険料は安く、月1000円程度で入れます。

損害保険のまとめ

以上で解説したように、個人賠償責任保険に未加入だと多額の賠償金を自分で負担するリスクがあります。自分がケガした場合は健康保険で治療をすることができますし、自分の物であれば自分の不運を悔やみつつも諦めることはできます。しかし、他人に与える損害はそうもいきません。また、損害保険はその保険料が安いメリットがあることから、損害保険に加入する負担は大きくありません。このリスクとメリットを秤にかけると、安心を買うという意味で、損害保険に加入できる人は、加入した方がよいでしょう。

生命保険

生命保険とは?

次は、生命保険について解説します。生命保険とは、人の「生存」または死亡に関し一定の保険金が支払われるものです。

生命保険というと、死んだときに支払われるものと勘違いしている人が多く、専門家であるはずのFP(ファイナンシャル・プランナー)にも勘違いしている人がいました。死亡したときに保険金が支払われる死亡保険は、生命保険の一つです。

人の「生存」に関する生命保険は、例えば、子どもが18歳になったら、まとまった教育資金(入学金や学費など)が保険金として支払われる学資保険、または、65歳になったら(保険に加入してx年経過した)ら、老後資金が保険金として支払われる個人年金保険などです。

損害保険と生命保険の違いは、偶然の事故という不確定なことではなく、一定期間経過や死亡など確実に起こることを条件に、決まった額の保険金が支払われることにあります。

定期保険と団体信用生命保険

生命保険は、保険料掛け捨ての、万が一に備えるタイプと、非掛け捨ての貯蓄タイプがあります。前者の代表例は、定期保険や団体信用生命保険です。

定期保険は、定まった期間に死亡したり重度な障害を負った場合に、高額な保険金が支払われる保険です。いわゆる「一家の大黒柱」が、子どもが成人しないうちに早死にし、遺族が路頭に迷うことを避けるための保険です。

団体信用生命保険(「団信」と略されることが多いです)は、住宅ローンを完済する前に、一家の大黒柱が早死にした場合、保険金で残りの住宅ローンを完済して、遺族が自宅を失うことを避けるための保険です。

この二つに共通するのは、いわゆる「一家の大黒柱」が早逝したときに、遺族が路頭に迷わないようにするためです。つまり、一家の大黒柱でない人は定期保険等に加入する必要はないですし、子なしの共働きカップルや子どもが独立したカップルにとっても、加入の必要はさほどありません。

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弁護士
なお、私は自宅を住宅ローンで購入したので、団信には入っています。また、定期保険には入っていませんでした。が、新型コロナの件があって、高額な定期保険に加入しました。

貯蓄型の生命保険

保険料が掛け捨てでない生命保険は、一般的に、貯蓄型の生命保険といわれます。貯蓄型の生命保険は、保険料を一定期間支払って、特定の時期に一括または分割で保険金が支払われるものです。学資保険、個人年金保険や、満期保険金が支払われるタイプの生命保険が代表例です。

貯蓄型の生命保険は、銀行などの預貯金に比べて、利回りがよいというメリットがあります。また、生命保険には生命保険料控除によって所得税や住民税を節税することができます。

もっとも、利回りがよいといっても、生命保険と同等、またはそれ以上に利回りのよい金融商品は存在します。また、節税効果はわずかですので、メリットというほどのものではありません。したがって、貯蓄型の生命保険が資産形成をする上で、優れているとはいえません。

しかも、貯蓄型の生命保険には大きなデメリットがあります。それは、生命保険の資産価値が、払い込んだ保険料の合計額を超えるのに、長い期間要するということです。どういうことかというと、生命保険の資産価値は、満期になる前は解約返戻金で評価します。この解約返戻金が支払済みの保険料の合計額より多くなると、生命保険に資産価値があることになります。資産価値が生じるまでに、10年以上必要になることは少なくありません。つまり、解約返戻金 < 支払済保険料の合計額のときに、解約すると損することになります。

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弁護士
私が生命保険の勉強して、このデメリットがあることを知る前に、貯蓄型の生命保険に2つ加入しました。一つは、早い段階で資産価値が生じたのでよかったのですが、もう一つの貯蓄型の生命保険は、加入して7年ぐらい経ちますが、解約返戻金 < 支払済保険料の合計額で、資産価値はありません。

したがって、貯蓄型の生命保険は、資産形成をする上でメリットよりもデメリットの方が際立つので、あえて加入する必要はないと思います。

生命保険のまとめ

以上の解説をまとめると、いわゆる「一家の大黒柱」である人が、万が一に備えて定期保険や団体信用生命保険に加入する必要はあります。しかし、それ以外の人は、生命保険に加入するメリットは特にありません。

傷害疾病定額保険

傷害疾病定額保険とは?

傷害疾病定額保険とは、聴き慣れない言葉だと思います。そもそも傷害疾病定額保険とはなんでしょうか? それは、人がケガしたり病気になったときに、一定の保険金が支払われる保険のことです。例えば、医療保険やがん保険、傷害保険などが代表例です。

傷害保険には2種類あります

なお、傷害保険は、治療費などの実費を穴埋めするタイプのものと、入院1日あたり5000円を支払うという一定額の保険金が支払われるタイプのものがあります。前者を傷害疾病損害保険といい、損害保険の一つです。後者は傷害疾病定額保険といいます。両者の違いは、保険金が実際にかかった金額か定額かの違いになります。

公的な医療保険と民間の医療保険

傷害疾病定額保険が必要かどうかについて、馴染み深い医療保険を例に考えてみます。

医療保険の中で私たちに馴染み深いのは、公的な医療保険です。具体的には、会社勤めをしている人なら健康保険に加入し、それ以外の人は国民健康保険に強制的に加入しています。(国民)健康保険に加入し、月々健康保険料を支払うことで、医療費の支払いは3割負担ですんでいます。

民間の医療保険は、公的な医療保険ではカバーしない部分をカバーするための保険です。具体的には、次のものをカバーします。

  • 医療費の3割負担部分
  • 入院をした時の差額ベッド代
  • 入院の雑費
  • 家族の病院への交通費
  • 健康保険適用外の先進医療の費用など

民間の医療保険は、保険料が掛け捨てで、入院や手術をしたときに保険金が支払われるというものが主流です。つまり、医療保険に入っても、入院をしたり手術をしたりする病気にならない限り、保険金はもらえず、損することになります。

高額療養費制度

(国民)健康保険は自己負担が3割ですむとはいえ、入院をするような病気になると積み重なって少なくない金額を負担しなければなりません。高額な医療費は払えないので将来の安心のために、民間の医療保険に入った方がいいと思うかもしれません。

しかし、3割負担でも医療費が高額になる場合には、高額療養費制度を利用することで、一定の自己負担限度額を超えて医療費を支払うと、超えた分についてあとで払い戻されます。一定の自己負担限度額は、収入によって異なりますが、多くの場合月約9万円以下です。例えば、1年入院したとしても、医療費はせいぜい100万円です。つまり、医療費の負担は、他人にケガさせたり、他人の物を壊したりするときのように、数百万とか数千万円のお金が必要になることはありません。したがって、安心といっても、損害保険や定期保険のような大きな安心とはいえず、貯蓄をするなどして自力でなんとかできる程度の安心です。

傷害疾病定額保険(医療保険)のまとめ

以上の解説をまとめると、将来、入院や手術が必要になり、高額な医療費を支払うときに備える方法は、保険料掛け捨ての医療保険に入るか、貯蓄の二つということになります。

入院や手術が必要な病気になるかどうかはわかりません。医療保険に入って、そのような病気にならなかったときに保険料分を損するリスクがあります。

他方、医療保険の保険料を貯蓄に回すと、入院や手術をしたりすることになってもその貯蓄から公的医療保険を超える部分について賄うことができます。また、入院や手術が必要な病気にならなかったら、お金を損することはありません。

どちらがいいかは人それぞれかもしれませんが、医療保険には入った方がいいとまではいえないかと思います。