はじめに

障害のあるお子さんのために財産を残したり、老後資金を増やしたりするためには、支出をできる限り減らすことが大切です。

支出を減らす1つの方法として、所得税を減らすこと(節税)があります。所得税を減らすために、「所得控除」を理解することが大切です。なぜなら、所得控除を増やすことが、所得税の税額を減らすことに直結するからです。

特別児童扶養手当の所得制限

所得控除については、特別児童扶養手当などの所得制限にも関係します。ですので、障害のあるお子さんを持つ親御さんや保護者の方もしっかり理解してほしいです。

そこで、ここでは所得控除について、できるだけ丁寧に、かつ、わかりやすい解説をします。資産形成に関心・興味のある方はとって役に立つ記事になると思います。

所得控除とは?

所得とは?

所得控除を増やして所得税を減らす(=節税)ためには、まず「所得」の意味を把握することから始めましょう。

所得とは、収入からその収入を得るためにかかった費用(経費)を差し引いたものです。次のような計算式になります。

所得 = 収入 – 経費

具体例

例えば、一年の収入が500万円だとして、その収入を得るために100万円の経費がかかったとします。この場合の所得は、500万円 – 100万円 = 400万円となります。

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弁護士
お給料をもらっている会社員の場合は、経費というものはありません。ただ、会社員の場合は、給与収入から引かれる「給与所得控除」が経費に相当するものとなります。

課税所得と所得控除

所得税は、この所得に応じて課せられる税金です。しかし、所得税は、実際には、所得そのものではなく、「ある金額を差し引いた」課税所得に対して課せられます。この差し引く金額のことを所得控除といいます。課税所得は、次のような計算式で出ます。

課税所得 = 所得 – 所得控除

具体例

例えば、一年の収入が400万円だとして、所得控除の合計額が150万円だとします。この場合の課税所得は、400万円 – 150万円 = 350万円となります。

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弁護士
お給料をもらっている会社員の場合は、次のような計算式になります。

課税所得 = ( 給与収入- 給与所得控除 ) – 所得控除

所得税の税率

所得税の税率は、一定範囲(段階)の課税所得ごとに税率が異なります。段階が上がると税率も増えます。

課税所得税率(%)
195万以下5
195万〜330万以下10
330〜695万以下20
695〜900万以下23
900〜1800万以下33
1800万超40
所得税の税率一覧
具体例

例えば、課税所得が350万円の場合、所得税率は20%になります。

このように、段階が上がるごとに税率が上がる税金のことを累進課税といいます。

所得控除は節税の柱

所得から所得控除した金額が課税所得ですから、所得控除の金額が増えれば増えるほど、課税所得は減っていきます。課税所得を減らすことは、税率を下げ、所得税額を減らすことになります。したがって、所得税額を減らす(節税)ためには、所得控除が重要になってくることがわかります。

所得控除は16種類+1

これまでの説明で、所得控除の意味がお分かりになったでしょうか。

所得控除の種類は、「16種類+1」あります。それは、次のとおりです。

  1. 雑損控除
  2. 医療費控除
  3. 社会保険料控除
  4. 小規模企業共済等掛金控除
  5. 生命保険料控除
  6. 地震保険料控除
  7. 寄附金控除
  8. 障害者控除
  9. 寡婦控除
  10. ひとり親控除
  11. 寡夫控除
  12. 勤労学生控除
  13. 扶養控除
  14. 配偶者控除
  15. 配偶者特別控除
  16. 基礎控除
  17. 青色特別控除

所得控除の節税効果

最後に、所得控除がどの程度所得税の納税額を減らすことになるのか、つまり、所得控除の節税効果について解説します。

ここでは、先ほど紹介した16種類+1の所得控除の中から、多くの人にとって関係が深い「基礎控除」を例に挙げます。

基礎控除の引き上げ

今まで基礎控除は、一律38万円でした。しかし、2021年春の確定申告から48万円に控除額が引き上げられました。ただし、所得が2400万円を超える、一部の高額所得者は基礎控除額が減額またはゼロになります。したがって、多くの人にとって、基礎控除額が引き上げられたことで所得税の納税額は減ることになります。ただし、会社員の方は、給与所得控除が-10万円されるため、実際には、所得税は減税にはなりません。

基礎控除の引き上げの節税効果

それでは、どの程度所得税の納税額が減るかを具体的に見ていきたいと思います。課税所得の段階に応じた納税額は、次の表のとおりです。

課税所得税率38万48万減った税額
195万以下51.9万2.4万5000
195〜330103.8万4.8万1
330〜695207.6万9.6万2
695〜900238.74万11.4万2.3
900〜18003312.54万15.84万3.3
1800〜24004015.2万19.2万4
基礎控除の引き上げの節税効果

このように、基礎控除の金額が10万円増えるだけで、数万円ほど所得税額が減ります。決してバカにはできないことがお分かりになったかと思います。

基礎控除以外の所得控除については、別の記事で解説していきたいと思いますのでお待ちください。