はじめに

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相談者
自筆証書遺言を書きたいと思っています。パソコンで作成することはできないのですか?
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弁護士
2019年1月13日以降ですと、財産目録については、パソコンで作成することができます。
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相談者
財産目録以外は自分で書かなければいけませんか?
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弁護士
自筆証書遺言となると、財産目録以外は自分でお書きにならないと無効となります。

動画で解説

財産目録とは?

そもそも、財産目録とはなんでしょうか? それは、財産の一覧表(リスト)のことです。

より詳しくいうと、財産を特定できる事項を記載して、番号をふった(ナンバリングした)ものです。下のサンプルをご覧になってください。

財産目録のサンプル
財産目録のサンプル

自筆証書遺言の財産目録をパソコンで作成できるメリット

すべての財産をお一人の方(例えば、夫や妻)に自筆証書遺言で残す場合は、「遺言者の有する一切の財産を配偶者○○に相続させる。」と書くだけで十分です。

他方、財産の種類や数が多く、配偶者や子どもたちに残す財産を指定したい場合には、財産目録を作らずに、自筆で書くのは大変です。書く分量が多くなると、書き損じることも多くなりがちです。

例えば、配偶者と子どもが一人という相続人が二人いる場合に、財産目録を作らずに、遺言書を作成する場合は、次のようになります。

旧来の自筆証書遺言
財産目録がないタイプの自筆証書遺言のサンプル

一方、財産目録を作って遺言書を作成する場合は、遺言書の本文は、次のようになります。

財産目録があるタイプの自筆証書遺言のサンプル

両方を比べても一目瞭然ですが、財産目録を作った方が、遺言書の本文はかなりシンプルになります。そして、財産目録はパソコンで作ってもよいので、自筆証書遺言を作成する負担はかなり軽減されることになります。これが自筆証書遺言の財産目録をパソコンで作成できるメリットです。

財産目録の作り方

一般的な財産目録の作り方

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相談者
財産目録を作った方がよいことはわかりました。では、どのようにして財産目録を作ったらいいのでしょうか?

一般的な財産目録を作る場合は、次のことを記載します。

  1. 「財産目録」というタイトル
  2. 財産を特定できる事項
  3. ナンバリング

2.の財産を特定する事項について、土地、建物、預貯金について具体的に示します。

土地であれば、土地の登記簿を確認して、以下の事項を記載します。

  • 所在
  • 地番
  • 地目
  • 地積

建物であれば、建物の登記簿を確認して、以下の事項を記載します。

  • 所在
  • 家屋番号
  • 種類
  • 構造
  • 床面積

預貯金であれば、銀行の通帳を確認して、以下の事項を記載します。

  • 金融機関名
  • 支店名
  • 預金の種類
  • 口座番号
  • 名義

コピーでもOK

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相談者
財産目録があった方が楽なのはわかります。ただ、財産目録を作るのは難しそうです。
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弁護士
確かに難しいかもしれませんね。
そういった方の場合は、登記簿や通帳のコピーでも大丈夫です。

財産目録は、特別な形式が法律で定められているわけではありません。したがって、すでに紹介した一般的な財産目録という形でなくても大丈夫です。

例えば、不動産の登記簿には、先ほど挙げた財産を特定できる事項がすべて記載されています。

また、預貯金については、通帳の表紙ではなく、通帳の1ページ目を開いた部分には、特定できる事項がすべて記載されていますので、その部分をコピーしてください。

財産目録を作る際の注意点

財産目録を作って、自筆証書遺言を作成する場合、いくつか注意点があります。

  1. 財産目録にも署名をして、印鑑を押す必要があります。財産目録が複数ページになる場合は、すべてのページに署名をし、印鑑を押す必要があります。両面の場合も両面とも署名と押印が必要です。
  2. 遺言書本文と財産目録は別の紙を使用してください。したがって、財産目録を作る場合は、遺言書は2ページ以上になります。バラバラにならないように、遺言書本文と財産目録をホッチキス留めしておきましょう。
  3. 財産目録を訂正する場合は、自筆証書遺言の訂正方法と同じ方法です。正しく訂正しないと無効になってしまいます。
合わせて読みたい

自筆証書遺言を訂正する方法は、法律で厳格に決められています。自筆証書遺言の正しい訂正方法については、「自筆証書遺言を正しく訂正する方法」で詳しく丁寧に解説しています。そちらもご覧ください。

自筆証書遺言を作ってみましょう

日本は諸外国に比べて遺言書を残さないと言われています。その理由としては、遺言書を作るのが大変だということにあります。2019年の民法改正で、財産目録は手書きでなくてもよいことになり、自筆証書遺言を書く負担がだいぶ軽減されました。親亡き後に争いごとや心配事を残さないためにも、自筆証書遺言を作っておきましょう。