はじめに

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相談者
自筆証書遺言を書いたのですが、書き間違えてしまいました。書き直さなければなりませんか?
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弁護士
書き直した方がいいと思います。が、訂正するところが少なければ、訂正しても大丈夫です。ただ、訂正の仕方は法律で決まっています。
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相談者
そうなんですね。どのように訂正したらいいんですか?
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弁護士
それでは、法律に定められている訂正方法について具体的に解説します。

動画で解説

YouTube 自筆証書遺言を正しく訂正する方法

法律に定められている訂正方法

自筆証書遺言の訂正方法について、民法968条3項は、次のように定めています。

自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

民法968条3項

要するに、次のように訂正しなければ無効と民法は定めています。

  1. 遺言を書いた人が変更する場所を示して
  2. 変更したことを書き加えて
  3. 署名をして
  4. 変更の場所に印鑑を押す

そんなに難しいことは書かれていません。が、慣れていないとイメージできないと思います。そこで、「訂正」「追記」「削除」の3つのパターンについて、具体例を挙げて解説します。

なお、印鑑は自筆証書遺言全体で同じものを利用してください。

訂正

訂正とは、誤った部分を正しく直すことを意味します。

例えば、「遺言者は、遺言書の有する一切の財産を、配偶者○○に相続させる。」という遺言書の内容について、「配偶者○○」ではなく「長男△△」に訂正する場合は、次のように訂正します。

なお、遺言者(遺言する人)の名前は「甲野太郎」とします。

  1. 「配偶者○○」の部分に二重線を引きます
  2. 二重線を引いた「配偶者○○」の下に「長男△△」と書き加えます
  3. 二重線にかかるように印鑑を押します
  4. 訂正した文の余白部分に『本行の「配偶者○○」を「長男△△」に変更した。甲野太郎』と書き加えます
訂正のサンプル
訂正の見本

追記

追記とは、遺言の内容に付け加えることを意味します。

例えば、「遺言者は、遺言者の有する一切の財産を配偶者○○に相続させる。」を書くつもりであったものの、「一切の」を書き忘れてしまった場合は、次のように追記します。

  1. 「遺言者の有する」と「財産」の間に、「{」と「一切の」を書き加えます
  2. 追記した文字の近くに印鑑を押します。
  3. 追記した文の余白部分に『本行に「一切の」を追記した。甲野太郎』と書き加えます。
追記のサンプル
追記のサンプル

削除

削除は、追記とは逆に遺言の内容の一部を削ることを意味します。

例えば、「遺言者は、遺言書の有する一切の財産を、配偶者○○に相続させる。」という部分を全部削除する場合は、次のようにします。

  1. 削除する文全部に二重線を引きます
  2. 二重線にかかるように印鑑を押します
  3. 二重線を引いた文の余白部分に「本行及び次行をすべて削除した。甲野太郎」と書き加えます
削除のサンプル

無効の意味

以上が、自筆証書遺言の訂正方法の解説でした。訂正方法を間違えると、その訂正は無効となります。つまり、訂正、追記、削除がなかったとして、訂正等がなされる前の遺言の内容が効力を持つということになります。

一番いい方法

自筆証書遺言を訂正すると、どうしても読みづらくなります。そのため、自筆証書遺言を書き損じてしまった場合は、一から書き直すことをお勧めします。

民法の改正によって、財産目録はパソコンなどで作成できるようになりましたので、自筆で書く部分が減りました。ですので、一から書き直すこともさほど負担ではないと思います。