はじめに

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相談者
私たちには、知的障害のある自閉症の子どもがいます。私たちが亡くなった後に、子どもはどこに住めばいいのかよくわかりません。
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弁護士
平成17年のやや古い調査ですが、知的障害のある人の約8割は親御さんと暮らしています。そして、18歳以上で、一人暮らしをしている人は約5%で、グループホームで共同生活をしている人は約9%だそうです。
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相談者
グループホームってよく耳にしますが、詳しくはわからないんですよね。
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弁護士
それでは、障害者が共同生活をするグループホームについて解説しますね。

共同生活援助とは?

障害者が共同生活するグループホームとは、障害福祉サービスの中心的な法律である「障害者総合支援法」に定められている「共同生活援助」のことを意味します。

共同生活援助については、「障害者総合支援法」では、次のように定めています。

この法律において「共同生活援助」とは、障害者につき、主として夜間において、共同生活を営むべき住居において相談、入浴、排せつ又は食事の介護その他の日常生活上の援助を行うことをいう。

障害者総合支援法5条17号

要するに、グループホームにおいて、夜間や土日祝日に、障害のある方が相談、お風呂・トイレ・食事の介護など日常生活上の援助を受けることを共同生活援助といいます。

この日常生活上の援助を実際にするのは、「世話人」や「生活支援員」と呼ばれるグループホームの職員さんです。

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弁護士
ここで注意しておきたいのは、障害者総合支援法では、住む場所を提供するとは書かれていません。あくまでも共同生活を行うグループホームで日常生活上の援助を提供することが主眼です。このことは、後で説明するグループホームの費用についても関係しますので、しっかり理解してください。

誰が利用することができるの?

次に、いつから、共同生活援助を受けることができるでしょうか?

原則18歳以上の障害者

原則として、身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者、難病患者の方々で、18歳以上になってからです。

例外として、15歳以上18歳未満のお子さんであっても、児童相談所などの専門機関が共同生活支援を受けることが適切であるとした場合には、グループホームを利用できます。

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弁護士
平成29年度全国グループホーム実態調査報告によると、利用者の年齢は、40歳未満が約31%で、40歳以上が約68%となるそうです。

障害支援区分による制限なし

障害者総合支援法が定める障害福祉サービスは、障害の程度(障害支援区分)によっては受けられないものがあります。

しかし、共同生活援助の場合は、障害の程度にかかわらず利用することができます。

もっとも、障害の程度(障害支援区分)によって、グループホーム側が受け取る報酬に違いがあるので、障害支援区分の認定を事前に受ける必要があります。

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弁護士
平成29年度全国グループホーム実態調査報告によると、利用者の支援区分は、区分が約25%と一番多く、次いで区分4が約24%となるそうです。

グループホームでの過ごし方

グループホームでの暮らしは、どのようなものでしょうか? グループホームによって違いはあるものの、平日の1日の流れは、だいたい次のようになります。

6時半ころに起床し、朝食を食べて、出かけるための身支度などをします。

日中

9時から16時の間は、グループホームではなく、日中活動を行う場所で過ごします。

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弁護士
平成29年度全国グループホーム実態調査報告によると、利用者の日中活動は、生活介護が37.5%と一番多く、次いで就労継続支援B型が34%となるそうです。

夕方・夜

日中活動先から16時ころに帰宅して、夕食や入浴などをします。就寝時間までは自由時間となります。

グループホームの費用

障害者グループホームを利用する上で気になるのは、費用がどれくらいかかるかという点ではないでしょうか? 一般の企業やフルタイムで働けないような障害がある場合は、特に気になると思います。

グループホームの費用の費目としては、主に次のものがあります。グループホームによって、これら以外にも費用がかかるところもあるでしょう。ただ、これらの費目については、どんなグループホームでも必要となるので、標準的な費目となります。

  1. 共同生活援助の利用料の自己負担分
  2. 家賃
  3. 食費
  4. 水道光熱費

利用料の自己負担分

共同生活援助を含む障害者総合支援法に定められている障害福祉サービスを利用する場合、利用者は、利用料の一部を自分で負担するのが原則です。ただし、利用料の自己負担分(月額)には、世帯の収入状況によって上限が定められています。そのため、想定外に高額になるということはありません。

グループホームの利用者の自己負担額は、以下のように、3パターンあります。

区分世帯の収入上限
生活保護生活保護受給中0円
低所得住民税非課税0円
一般住民税課税37,200円
利用料負担額の上限
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弁護士
グループホームに住む場合、単身世帯となります。そして、障害年金が収入の中心である障害者の多くは、生活保護を受給しているか、住民税は非課税です。したがって、そのような方の場合は、利用料の自己負担額はゼロとなりますので安心ですね。

家賃・食費・水道光熱費

共同生活援助は、あくまでも日常生活上のサポートを受けられるサービスで、住むところが提供されるわけではありません。そのため、グループホームに対して、毎月家賃、食費、水道光熱費を支払う必要があります。

利用料の自己負担額がゼロの方(生活保護を受給している方や低所得の方)の場合、家賃の補助を市町村から受けることができます。家賃補助の金額は、月額最大1万円です。

食費には昼食が含まれていないのが一般的です。なぜなら、グループホーム利用者の平日の過ごし方のところで紹介したように、利用者の多くの方は日中をグループホーム外の施設で過ごしています。そのため、グループホーム側で昼食を提供することはないからです。

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弁護士
平成29年度全国グループホーム実態調査報告によると、利用者が毎月グループホームに支払っている金額は、4万円以上6万円未満が半数以上を占めているそうです。

すぐに入れるの?

障害者グループホームは、希望すればすぐに入ることができるのでしょうか? 最後にこの点について現状を紹介しておきたいと思います。

障害者グループホームはすぐには入れないという声をよく耳にします。グループホームへの入所を希望しているけれど、空室がなくて入れない方はどれぐらいいるのでしょうか? インターネットで調べても、待機者の数がわかるデータは見つかりませんでした。

しかし、私の事務所がある埼玉県さいたま市の市議会議員のブログに、さいたま市におけるグループホームの待機者の数について書かれていました。内容は次のとおりです。

今、さいたま市内には、95ヶ所のグループホームがあり、421人の定員です。<中略>市は、ようやく昨年障害者のグループホームの入所希望のていねいな調査をし、初めて、より実態に即した待機者数をカウントしました。調査の結果でグループホーム待機者は650人。そのうち3年以内に入居が必要な緊急性のある待機者が214人という結果でした。

久保みきのひとりごと
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弁護士
グループホームは利用者の入れ替わりは激しくないと思います。そうなると、定員を超える数の待機者がいることを考えると、希望してもグループホームに入るには、しばらくは待つ必要があるでしょう。

おわりに

以上が、グループホームについての初歩的な解説です。障害のあるお子さんが、サポートさえあれば共同生活が可能であれば、親から独立した生活をする選択肢として、グループホームは有力だと思います。

ただ、まだまだ供給が足りていないのが現状です。ですので、グループホーム、共同生活援助の利用を検討している親御さんは、早めに準備する必要があるのかなと思います。