子どもに財産をしっかり残したい




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遺言執行者とは?
遺言執行者とは、遺言者(遺言を書いた人)が亡くなった後に、遺言の内容を実現させる人のことです。
遺言執行者の資格
遺言執行者になれない人について、民法1009条は、次のように定めています。
未成年者及び破産者は、遺言執行者となることができない。
民法1009条
つまり、未成年者と破産者以外は、遺言執行者になることができます。例えば、次に挙げる人たちでも遺言執行者になれます。
- 相続人
- 友人知人
- 相続人ではない親族
- 弁護士
- 法人
遺言執行者を指定するメリット
では、遺言執行者を指定するメリットとしては、どのようなものがあるでしょうか? 次のようなメリットがあります。
- 遺言執行者が責任をもって遺言の内容を実現してくれる安心
- 相続人が勝手に遺産を処分することができなくなる
2番目のメリットについては、民法は次のように定めています。
遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
民法1013条1項・2項
2 前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
例えば、遺言書には、自宅不動産を障害のある子どもAに相続させると書いてあったとします。遺言の内容が気に入らない他の相続人Bが、自宅不動産を勝手に第三者Cに対して売却することはできません。売却しても、原則としてその売買は無効となり、取り戻すことができます。
ただし、第三者Cが遺言があることや遺言執行者がいることを知らなかった場合には、有効になってしまうこともありますのでご注意ください。
遺言執行者を指定するデメリット
遺言執行者を指定することは、メリットだけではなく、デメリットもあります。
遺言執行者を指定するデメリットは、遺言執行者の報酬の支払いです。
遺言の内容を実現するためには、さまざまな手間や手続きが必要になります。例えば、不動産の登記手続きや、預貯金の解約などです。したがって、遺言執行者の報酬は、遺言の内容を実現するために必要な費用であると考えてください。
遺言執行者を家族・親族、親しい友人にした場合、無報酬で遺言執行者をしてくれる場合もあると思います。しかし、遺言について相続人間で揉めるということがあった場合(例えば、遺産をもらえない相続人が遺言は無効だと争うなど)に、遺言執行者は矢面に立つことになるので、誰を遺言執行者にするかについては、慎重に検討してください。