遺言執行者の報酬はいくら? 弁護士編

avatar
相談者
遺言書を書いて障害のある子に財産を残しておきたいと考えています。信頼できる弁護士さんを遺言執行者に指定したいです。ただ、報酬をどれぐらいお払いするものかよく分からなくて。
avatar
弁護士
それでは、弁護士を遺言執行者に指定する場合に、その弁護士に支払う報酬について解説します。
そもそも遺言執行者とは?

「遺言執行者とは?」「どんなメリットとデメリットがあるの?」と疑問がある方は、「遺言執行者とは? あなたの遺言を実現する責任者」をご覧ください。

動画で解説

遺言執行者の報酬はいくら?弁護士編(YouTube)

遺言執行者に弁護士を指定する場合の報酬

日本弁護士連合会(日弁連)報酬等基準(旧規程)

現在、弁護士の報酬の決め方は、個々の弁護士が自由に決めてよいということになっています。したがって、基本的には、弁護士を遺言執行者に指定した場合の報酬は、一律の基準というものはありません。

しかし、かつて、弁護士全員が強制的に加入する団体である日本弁護士連合会(略して日弁連)で報酬基準(「旧規程」ということが多いです)を定めていて、弁護士はその基準に従わなければなりませんでした。

そして、弁護士の報酬の決め方について、この報酬基準(旧規程)を採用している弁護士は多いです。つまり、実質的には、今でもスタンダードな弁護士の報酬基準ということになります。

次の表は、弁護士を遺言執行者に指定した場合の報酬について、日弁連の報酬基準(旧規程)です。

基本経済的な利益の額が
300万円以下の場合 30万円
300万円〜3000万円以下 2%+24万円
3000万円〜3億円以下 1%+54万円
3億円〜 0.5%+204万円
特に複雑・特殊な事情がある場合弁護士と受遺者との話し合いで決めた額
遺言執行に裁判手続が必要な場合裁判手続に必要な弁護士費用を請求可
報酬と遺言執行の費用は別です

ここで説明する報酬とは、遺言執行の対価として弁護士に支払われるお金のことを意味します。遺言執行の費用(例えば、交通費、登録免許税、収入印紙、切手代など)は遺産の中から支払われます。報酬と遺言執行の費用の区別は、遺言執行者がいなくても当然にかかる費用かどうかで判断してください。

基本報酬

「基本」と書かれている欄が、遺言執行者の報酬のベースラインです。ここに書かれている「経済的な利益の額」とは、遺言執行者の場合は、遺言書に記載されている財産の時価総額の意味です。なお、記載されている金額は消費税抜き(税別)の金額です。

基本の基準によると報酬額は、少なくとも30万円(税別)ということになります。

例えば…

時価2000万円の土地建物と500万円の預貯金を遺言で残す場合、財産の総額は2500万円ですので、報酬額とその計算方法は、次のとおりになります。

報酬額 = 2500万円 * 0.2 + 24万円 = 74万円

複雑・特殊なケース

相続人が配偶者と子ども、遺産が自宅不動産、現金・預貯金、保険程度の一般的な場合には、上で説明した基本報酬となります。

しかし、相続人や受遺者(遺言で財産を受ける人)が多数で、遺産の数や種類も多い場合には、手間や時間が格段に増えてしまうことがあります。そのような場合は、受遺者との話し合いで、基本報酬より多い報酬額になることもあります。

裁判手続が必要な場合

次のような場合には、遺言書について争われることが少なくありません。

  • 法定相続分よりも少ない財産しかもらえなかった相続人がいる場合
  • もらえる財産がゼロの相続人がいる場合
  • 相続人以外の人や会社、団体に対して、財産が与えられる場合など

このような場合、遺留分や遺言書の効力について、訴訟などの裁判手続を遺言執行者となった弁護士が対応しなければならないこともあり得ます。そのような場合は、基本報酬とは別に、着手金・報酬金を請求されることになります。

最後に

以上が、弁護士を遺言執行者に指定する場合の報酬についての解説です。ここで説明した一般的な報酬基準をベースに、遺言執行者を弁護士に指定する場合の報酬について、高いか安いかを判断してもらえばと思います。

もっとも、まだ多くの弁護士が日本弁護士連合会の報酬基準(旧規程)を採用しているとしても、個別のケースによっては、報酬金額を柔軟に対応する弁護士も少なくありません。遺言執行者の報酬については、弁護士としっかり相談してください。

合わせて読みたい記事

遺言書に遺言執行者の報酬を書かなかった場合には、どうなるでしょうか? その場合は、家庭裁判所に遺言執行者の報酬を決めてもらうことができます。詳細は「遺言執行者の報酬はいくら? 家庭裁判所編」をご覧ください。