遺言執行者の報酬 -家庭裁判所編-

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相談者
障害のある子に財産を残すために遺言書を書こうと思っています。遺言執行者を指定するつもりです。ただ、遺言執行者の報酬をいくらにするか悩んでいます。
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いくらが適切なのかよくわかりませんよね。遺言書に遺言執行者の報酬について決めておかないと、最終的には家庭裁判所が決めることになります。
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相談者
家庭裁判所は、遺言執行者の報酬をどのようにして決めるんですか?
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それでは、その点について解説します。

動画で解説

遺言執行者の報酬はいくら?家庭裁判所編(YouTube)

遺言執行者の報酬の基本ルール

遺言執行者の報酬については、民法が次のように定めています。

家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。

民法1018条1項

この規定を素直に読むと、報酬を決めることができるのは、遺言者(遺言を書いた人)か家庭裁判所のどちらかということになります。しかし、遺言者と家庭裁判所の他に、相続人も決めることができます。

遺言執行者の報酬については、次の3つのパターンがあります。

  1. 遺言書に遺言執行者の報酬についての記載があるときは、それに従います。
  2. 遺言書に報酬についての記載がない場合、遺言執行者と相続人との話し合いで決めることもできます。
  3. 遺言書に報酬についての記載がない場合、家庭裁判所に報酬を決めてもらうこともできます。

家庭裁判所が決める報酬額の基準

遺言執行者の報酬を決める際に考慮される事情

それでは、家庭裁判所は、遺言執行者の報酬について、どのような基準で決めているのでしょうか?

家庭裁判所は、次のような事情を考慮して、報酬額を決めます。

家庭裁判所は、遺言執行者として管理していた財産の額、内容、種類、遺言執行の状況、遺言執行の難易、遺言執行に要した時間、遺言執行者と遺言者及び相続人との身分関係、遺言執行者の生活状況等諸般の事情を考慮して報酬額を決定する。すなわち、遺言執行の状況、遺言執行に要した労力が重要な基準となると考えられる。

片岡武他「家庭裁判所における成年後見・財産管理の実務第2版」639頁

しかし、このような抽象的な基準では、遺言執行者の報酬が一体いくらになるのかわかりません。家庭裁判所は、成年後見人の報酬について一定の目安を明らかにしています(成年後見人等の報酬額のめやす)。しかし、遺言執行者の報酬については、このような目安を公表していません。

遺言執行者の報酬の具体的な金額

では、家庭裁判所に遺言執行者の報酬の付与を申し立てるまで、まったくわからないかというと、必ずしもそうとは限りません。遺言執行者と似たような仕事をする相続財産管理人という職務があります。この相続財産管理人の報酬額は、少なくとも40万円です。おそらく遺言執行者の報酬の最低額は、相続財産管理人と同様に40万円前後だと推測されます。

遺言執行者を弁護士が引き受けるときの報酬額の下限は、30万円が一般的であることから、家庭裁判所が決めるときも最低ラインは30万円かもしれません。

注意点

相続財産管理人は、相続財産の管理業務として、訴訟などの裁判をすることがあります。この場合に、相続財産管理人の報酬額は100万円になることもあります。遺言執行者も相続人などを相手に訴訟などの裁判をすることがあります。そのような場合は遺言執行者の報酬額が100万円になることもあり得るのでご注意ください。