弁護士 前園 進也の近影
弁護士 前園 進也

一般的に、障害者の収入は健常者よりも少ないです。その格差を埋めるために、障害者向けの各種手当があります。

ここでは、地方自治体独自の障害者むけの手当である「在宅重度障害者手当」について、障害者の親兼弁護士が解説します。

障害関係の手当

障害児・障害者やその家族が受けられる経済的支援として、代表的なものが以下の5つです。

  1. 障害年金
  2. 障害児福祉手当
  3. 特別障害者手当
  4. 特別児童扶養手当
  5. 在宅重度障害者手当

これら5つの経済的支援のうち、1.から4.は、法律で定められているものです。そのため、全国どこに住んでいても、同じ内容の経済的な支援を受けることができます。

他方、5.の在宅重度障害者手当は、地方自治体独自の制度です。それなりの地方自治体にこの制度はありますが、名称、支給の条件や支給額などの手当の内容が違います。

この記事では、この在宅重度障害者手当について、解説します。

名称

在宅重度障害者手当は、地方自治体独自の制度です。愛知県や神奈川県のように都道府県レベルで制定されているところもあれば、市町村レベルで制定されているものもあります。

地方児自体独自の制度であるため、その名称も微妙に異ります。例えば、次のように微妙に違いがあります。

在宅重度障害者手当の支給金額

在宅重度障害者手当の支給金額も、地方自治体によって違います。

ただ、月額5000円から1万円が多いと印象です。

地方自治体によっては、重度の障害者にしか支給しないところもあれば、埼玉県春日部市の在宅重度心身障害者手当のように名称には「重度」という言葉が入っていても、軽度、中等度の場合でも支給している地方自治体もあります。重度より軽い場合には、支給金額が少なくなるのが一般的のようです。

手当は、半年や4か月まとめて支払われます。

東京都在宅重度障害者手当

在宅重度障害者手当の支給額は、月額5000円から1万円が多いと書きました。ただ、東京都の在宅重度障害者手当は、月額6万円という破格な金額です。このような高額の手当を支給しているところは、東京都だけと思われます。

ただし、障害の程度が重度ではダメで、次のような場合に限定されています。

  1. 重度以上の知的障害かつ行動障害
  2. 知的障害と身体の重複障害
  3. 重度の四肢不自由

在宅重度障害者手当の受給の要件

在宅重度障害者手当をもらうための要件も、地方自治体によって違います。が、ある程度共通する要件がありますので、それらの要件について解説します。

在宅

名称に「在宅」とあることから、施設などに入所している人は受給できません。ただ、この在宅の要件も、地方自治体によって微妙に異ります。例えば、病院に入院の場合には受給できるところもあれば、3か月以上の入院の場合には受給資格を失うところもあります。

施設とは、東京都のように、具体的に何を指すのかがホームページなどに明確に記載している地方自治体とそうでない地方自治体があります。書かれていない場合には、障害福祉課などにお問い合わせください。

また、愛知県のように、刑務所に服役した場合も受給資格を失うと明確に記載している地方自治体もありました。

障害の程度

どの程度の障害であれば、在宅重度障害者手当を支給できるかも、地方自治体によって違います。重度以上に限定しているところもあれば、埼玉県さいたま市のように軽度・中等度でも支給しているところもあります。

愛知のように重複障害の場合は金額が増えるところや、神奈川県川崎市のように、重複障害の場合は、神奈川県とは別に、重複障害者用の手当を支給しているところもあります。

私がインターネットで調べた範囲ですが、多くの地方自治体は、障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳)の等級を、支給要件の基準にしています。

ただし、東京都の在宅重度障害者手当のように、障害者手帳の等級だけでは、支給されない地方自治体もありますのでご注意ください。

各種制限

在宅重度障害者手当には、各種の制限があります。これも地方自治体によって違いますが、ある程度共通する制限について取り上げます。

年齢

年齢については、65歳未満という年齢の上限を設けている地方自治体が多いです。加齢による障害を対象外とする趣旨と思われます。

所得制限

所得制限を設けている地方自治体は多いです。住民税が課税されるだけの所得があると受給できないという基準が一般的です。ただし、東京都のように、住民税非課税かどうかではなく、扶養親族の数によって所得制限の金額を変動しているところもあります。

誰の所得を基準にするかについては、多くの地方自治体では、受給者である障害児者本人の所得を基準としています。そのため、住民税が課税されるだけの所得がある家族と同居をしていても、在宅重度障害者手当を受給することができます。

併給制限

地方自治体によっては、以下の国の手当を受給している場合には、在宅重度障害者手当を支給しないというところがあります。

  1. 特別障害者手当(20歳以上)
  2. 障害児福祉手当(20歳未満)

在宅重度障害者手当の拡充

以上が、在宅の障害者向けに、地方自治体で独自に支給している手当の解説でした。お住まいの地域の在宅障害者手当は、他の地域よりも手厚いでしょうか。

私の住む地域は、金額も少なく、重度以上しかもらえません。さらに、併給制限もあります。他の地域に比べて、正直見劣りします。しかし、現状に甘んじることなく、より良い在宅重度障害者手当になるように、行政機関や地方議員に対して、金額を増やしてほしいなどと要望を伝えていけたらと思います。