障害者支援施設とは?

障害者支援施設とは何かについては、障害者の福祉に関する中核的な法律である「障害者総合支援法」に書かれています。それによると、障害者支援施設とは、障害者に対して、昼間は生活介護、自立訓練などを行い、夜間はお風呂、トイレ、食事などの介護など(施設入所支援といいます)を行なっている施設をいいます(障害者総合支援法5条11号同条10号)。

障害者支援施設は、昼間のサービスとして、次の4つを提供しています。

  1. 生活介護
  2. 自立訓練
  3. 就労移行支援
  4. 就労継続支援B型

2018年の「障害者支援施設のあり方に関する実態調査」10頁(以下、「実態調査」とします)によると、約97%の障害者支援施設が、生活介護サービスを実施しています。したがって、これからは、生活介護と施設入所支援をしている障害者支援施設を念頭に説明します。

障害者支援施設の経営主体

障害者支援施設の数は、2018年で、全国に約2500です(実態調査1頁)。障害者支援施設は、次のような主体が設置運営することができます(障害者総合支援法83条)。

  1. 都道府県
  2. 市町村
  3. 社会福祉法人など

実態調査10頁によると、障害者支援施設の経営主体は、約97%が社会福祉法人です。公立の障害者支援施設はわずかです。

障害者支援施設の設備と運営

障害者支援施設の設備と運営の基準は、都道府県(政令指定都市なども含む)が条例で定めることになっています(障害者総合支援法84条1項)。そのため、お住まいの地域によっては、障害者支援施設の設備と運営の基準が異なります。

しかし、実際には、国の方で標準的な設備と運営の基準(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害者支援施設の設備及び運営に関する基準)を定めて、その国の基準に準じることを求められています(障害者総合支援法84条2項)。これからは、その国の基準の一部を紹介します。

障害者支援施設の規模・定員

障害者支援施設の規模については、国の基準9条によると、原則として30人以上となっています。実際の入所定員は、平均して約54人です(実態調査11頁)。実際の入所者の数は、平均52人で、そのうち約70%が知的障害者です(実態調査17頁)。

障害者が実際に寝起きする居室などについても基準が設けられています(国の基準10条2項)。居室については、4人以下となっています。トイレや洗面所は、居室のある階ごとに設置することになっており、各居室に一つという基準にはなっていません。浴室については、利用者の特性に応じて設置することになっています。食堂の設置が必要となっています。

比較的最近に開設された障害者支援施設や、老朽化による改装したところでは、居室は個室で、トイレや洗面所が設置されているところも多くなってきているそうです。

障害者支援施設の人員配置

障害者支援施設のスタッフの配置については、昼間に生活介護を提供している障害者支援施設の場合は、次のようなスタッフを置くことを求められています(国の基準11条)。

  1. 施設長
  2. 医師
  3. 看護職員
  4. 理学療法士または作業療法士
  5. 生活支援員
  6. サービス管理責任者

実際の配置状況は、常勤の看護職員はいるものの、医師は非常勤です(実態調査15頁)。利用者のケアをメインで行う生活支援員等は、常勤専従のスタッフの数は平均22人です(実態調査14頁)。生活支援員等の中に社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士の資格を持っている人も一定数いるようです(実態調査14頁)。

以上が、障害者支援施設の概要です。