弁護士前園進也の近影
弁護士前園進也

障害者扶養共済は多くのメリットがあり、障害者の親亡き後の備えとして魅力的です。しかし、掛金に関して2つのデメリットがあります。障害者扶養共済への加入前には、この2つのデメリットはしっかり理解してください。

デメリット1 実質的に掛け捨ての生命保険

障害者扶養共済は、途中で解約した場合、それまでに支払った掛金のうち、ほんのわずかしか戻ってきません。つまり、実質的に掛け捨ての生命保険にあたります。この点が、障害者扶養共済の最大のデメリットです。

障害者扶養共済への加入を検討している方は、このデメリットを理解したうえで、納得してから加入の申し込みをしてください。

解約した場合などに戻ってくるお金

脱退一時金

障害者扶養共済のデメリットについて、もう少し詳しく見ていきましょう。掛金の支払いが困難になって障害者扶養共済を解約すると、脱退一時金が支払われます。

脱退一時金の金額は、障害者扶養共済に加入していた年数にやって、次の表のとおり3段階あります。

加入期間脱退一時金額
5年以上10年未満75,000円
10年以上20年未満125,000円
20年以上250,000円
脱退一時金額の一覧(2019年4月1日現在)

仮に、掛金(月額)が15,000円だとすると、5年間の掛金の総額は90万円となります。75,000円は約8%ですので、92%は戻らないことになります。20年間の場合は総額が360万円で250,000円は約7%となります。

弔慰金

解約の他に、加入者である親や保護者より先に障害児者が亡くなった場合も、支払った掛金の多くは戻ってきません。弔慰金としてわずかばかり戻ってくるだけです。

弔慰金の金額は、障害者扶養共済に加入していた年数にやって、次の表のとおり3段階あります。

加入期間弔慰金額
1年以上5年未満50,000円
5年以上20年未満125,000円
20年以上250,000円
弔慰金額の一覧(2019年4月1日現在)

特児を掛金の原資

以上のように、一度、障害者扶養共済に加入すると、少なくとも20年間は掛金を支払い続けなければなりません。

民間の貯蓄型の生命保険であれば、元本割れがあるにしても、障害者扶養共済よりは多くの支払済みの保険料を回収することができます。加入者がなんらかの理由で収入が減ったときに、生命保険を解約し、減った収入を補うことができます。しかし、障害者扶養共済は、掛金分の支出は減りますが、収入の減少を補うことはできません。

このようなリスクへの対策として、障害者扶養共済の掛金を、特別児童扶養手当から支払うことが考えられます。

特別児童扶養手当の支給額は、2級であっても、加入者が50歳以下であれば、障害者扶養共済の掛金二口分より多いです。

また、知的障害のあるお子さんがいる場合、3歳から20歳までの17年間特別児童扶養手当をもらえるので、障害者扶養共済の掛金を多くを特別児童扶養手当でまかなえることができます。

仮に、解約したり、障害のある子どもが加入者より先に亡くなったりしても、掛金の大部分を、加入者が汗水流して稼いだお金ではなく、公的な手当でまかなったのであれば、損をしたという意識が薄くなるのではないかと思います。

デメリット2 掛金総額 > 年金総額 となるリスク

途中解約すると掛金のほとんどが戻ってこないデメリットの他に、加入者が長生きしたり、障害のある方が長生きしなかった場合に、掛金総額より年金総額が少なくなるリスクがあります。

ただ、このリスクは、一つ目のデメリットよりは不利益の程度は低いと思います。障害者扶養共済は、障害者の親亡き後の所得を補う目的の制度です。親亡き後の期間が短かったとしても、この目的は達成されているからです。

まとめ

以上のように、(心身)障害者扶養共済は、次の2つのデメリットがあります。

  1. 実質的に掛け捨ての生命保険で、途中解約などでほとんど掛金の払い戻しは受けられません
  2. 支給される年金総額が、掛金の総額よりも少なくなる可能性があります

この2つのデメリットを踏まえた上でも、メリットの方が大きい、また、免除されるまで掛金を支払うことができると判断された場合には、(心身)障害者扶養共済(しょうがい共済)に加入を検討してください。

障害者扶養共済をより詳しく知りたい方へ

障害者扶養共済について十分に理解できましたか? この記事だけで十分理解できたという方は少ないと思います。障害者扶養共済の加入を検討するうえで重要な情報はインターネットだけでは得られません。また、障害者扶養共済を解説する書籍もないのが現状です。

そこで、誰も障害者扶養共済の解説書を書かないのであれば、私の方で一般向けの解説書(電子書籍)を書きました。Amazonで「障害者扶養共済」というタイトルで販売中ですので、障害者扶養共済の加入を検討していてより詳しく知りたい方は、ご購入をご検討ください。