離婚家庭の子どもの気持ち―面接交渉実態調査 アンケートとインタビュー―

「離婚家庭の子どもの気持ち」(日本加除出版,第2版)を読みましたので,その概要と感想を紹介します。

「離婚家庭の子どもの気持ち」の概要

本書は,「子どもの健全育成と大人世代の責任の全う」を理念とするNPO法人Winkが編者となり,下は11歳から上は36歳までの離婚家庭の子どもたち20人のインタビュー集です。本書は,3章からなり,第1章と第3章は学者や弁護士などの専門家の論考が収録されていますが,全体で占める割合としては20%弱です。他には,面接交渉実態調査2007年アンケートと離婚家庭の子どもの気持ちアンケート(ともにWeb上のアンケート)の結果も資料として収録されています。ページ数は184ページです。

「離婚家庭の子どもの気持ち」の感想

本書には,20人の離婚家庭の子どもたちのインタビューが収録されています。両親の離婚という点ではみな共通しています。しかし,それ以外の点については本当にさまざまです。ロシアの文豪トルストイの言葉「幸福な家庭はどれも似たものだが,不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。」のとおりです(両親が離婚したからと言って必ずしも不幸ではないというツッコミがあるかもしれませんが,私自身も離婚家庭の子どもなのでよくわかっています)。例えば,両親の離婚の原因が父の暴力・DVであったり,性格や価値観の不一致であったり,離婚の理由を子どもにちゃんと話していない親もいたりします。離れ離れになった親と現在でも交流がある子どももいれば,そうではない子どももいます。両親の離婚を望んでいた子どももいれば,できれば離婚してほしくなかったと今でも思っている子どももいます。離婚が子どもの人生に与える影響にしてもさまざまでした。同じ当事者である私としても「うんうん,わかる」と頷けるところもあれば,ピンとこない話もありました。

弁護士として子どものいる夫婦の離婚に関わるときに,その子どもたちと話す機会はあまりありません。子どもが未就学児童であれば,依頼者が調停のときに子どもを一緒に連れてくることはあります。しかし,待ち時間は子どもを退屈させないようにおもちゃで遊んであげることはあっても,それ以外の話をすることはありません。学校にあがった子どもの場合は,昼間は学校ですので,そもそも会う機会がありません。そのため,親の代理人である弁護士としては,子どもが両親の離婚をどう思っているのかなどの子どもの気持ちを直接聞くことはほとんどありません。そう意味で,離婚に携わる弁護士にとって,本書は離婚家庭の子どもの気持ちを知るうえで貴重な資料です。

本書は弁護士だけではなく,親御さんにも有益です。離婚を考えている親御さんにもぜひ本書を読んでもらって,そのうえで離婚,親権,養育費,面会交流について検討して話し合うことができれば,子どもたちへのダメージを最小限に抑える離婚が実現できるのではないかと思います。そのため,本書が平成28年3月6日現在アマゾンで品切れ状態であることは残念です。

弁護士前園進也の近影

弁護士(アーネスト法律事務所所属)
離婚家庭・再婚家庭の子どもとして、夫婦や家族の問題について情報発信をしています。