上映会「乳児院を考える#1~乳児院と不妊体験者たち~」に参加して

はじめに

任意団体「里親の学校」主催の「乳児院を考える#1~乳児院と不妊体験者たち~」という上映会に参加してきました。場所は東京の亀戸。参加者は12,3人で、当事者から男子大学生や専門職まで人数の割に多彩なメンツが揃っていました。別の勉強会で知り合った「里親の学校」のメンバーの方に誘われたので,さらに里親や養子縁組について学ぼうと思い参加しました。

上映会の概要・流れ

最初に,NHKのドキュメンタリー番組「パパとママがほしい〜大阪・乳児院の日々〜」を鑑賞。シュン君という孤児を中心に、乳児院の日常、職員がシュン君の養子縁組先を探すために奔走する姿、不妊で子どもを産むことを諦めた夫婦の姿などが映し出されていました。

上映終了後は,コメンテーターとして不妊治療当事者支援のNPO法人Fineの代表・松本さんを中心に、上記番組の感想などに基づいて、乳児院を取り巻く環境や不妊治療の当事者,里親制度などについて意見交換をしました。

感想

ただでさえ涙腺のゆるい私は,上記ドキュメンタリー番組を見ながら,何度もウルウルきました。鼻をすする音が聞こえたので,私以外にも涙する人はいたと思います。

乳児院とは

私自身,里親や養子縁組のことを詳しく知ることになったは,ごく最近のことです。里親と養子縁組の違いすら知りませんでした(ざっくり言うと,養親子は法的には親子ですが,里親子は法的には親子ではありません)。なので,乳児院という存在自体を知りませんでした。乳児院とは,児童福祉法37条に規定されている施設で,乳児(児童福祉法では1歳未満の子)及び幼児(児童福祉法では満1歳から小学校就学の始期に達するまでの子)を養育する施設を言います。

年齢制限の問題

上記番組では,不妊治療を諦めて,養子縁組する子どもを探している40代半ばの夫婦(納屋さん夫婦)が出てきます。当初,彼らは赤ん坊(乳児)を養子にしたいと考えていました。しかし,養親になるための条件のひとつに,子どもとの年齢差がだいたい40歳までであることというのがあり,赤ん坊をあっせんしてもらうことができません。

年齢制限を設けている趣旨は,子どもが成人するまでの間,身体的にも経済的にも子どもを養育できうる夫婦でなければいけないということにあると,子どもをあっせんする団体の職員が述べていました。この趣旨は一理あると思います。しかし,番組で紹介されていた国際養子縁組をあっせんする団体は,上記年齢制限を設けていませんでした。上記年齢制限の趣旨は外国においても妥当しそうなだけに,この違いはどこにあるのか気になりました。

納屋さん夫婦は,赤ん坊をあっせんしてもらうのを半ば諦めて,対象を幼児に切り替えました。しかし,赤ん坊でないため,本当に育てられるだろうかと慎重になっている姿が映し出されていました。このような夫婦は,里親等を考えているカップルの中でも多いのではないかと思います。

また,Fineの松本さんによると,不妊治療の当事者の年齢は上昇しており,10年前では珍しかった40代の当事者が今では珍しくないらしいです。養子縁組を希望する夫婦の年齢層のデータは知りませんが,素朴に考えても20代や30代前半が多いとは思えません。となると,赤ん坊から子どもを育てたいと思っている夫婦がいて,親が必要な赤ん坊がいるにもかかわらず,上記年齢制限が両者をつなぐ妨げにもなっているという難しい問題を生み出しているように思えます。

年齢制限から引き取り手が見つからず,児童養護施設で18歳まで過ごすことと,仮に養子が成人になる前に養親が亡くなったとしても,それまでは親の愛情を独占し養育されるのでは,後者の方が子どもにとっては良いのではないかと素朴に考えてしまいます。まだ門外漢なので,この点についても,もっと知りたいと思います。

血縁に対するこだわり

不妊治療を受けている女性は、自分で産むことにこだわりがある人と、子どもを育てることを重視する人に分けられ,後者の方が人工授精から体外受精,実子から養子・里子へのスイッチの切り替えが早いそうです。そして,産む性ではない男性も同様であるという話が出ました。もっとも、実子にこだわる夫の実例も紹介されていましたが。血縁に対するこだわりというのもこの手の問題においては非常に重要なポイントであると思うので,専門家の知見を知りたいです。

最後に

独身で,しかも彼女もいない私にとって,里親や養子縁組自体はあまり身近な問題ではありません。しかし,これも何かの縁なので,里親や養子縁組などについてより深く学び,弁護士として何かやれることがないか模索していけたらと思います。

弁護士前園進也の近影

弁護士(アーネスト法律事務所所属)
離婚家庭・再婚家庭の子どもとして、夫婦や家族の問題について情報発信をしています。