親亡き後の課題について全体像をざっくりと把握しておきましょう

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相談者
私たちには、障害のある子どもがいます。当然、私たちの方が先に行くことになります。私たちが死んだ後に、子どもがちゃんと生きていけるか心配です。
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弁護士
いわゆる「親亡き後」についてご心配なんですね。
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相談者
はい、そうなんです。今のうちに準備をしておきたいと思っていても、何から手をつけていいかわからなくて…
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弁護士
確かに、そうだと思います。では、親亡き後の課題は、大きく3つのテーマに分けることができます。その3つのテーマについて、どのような解決手段があるかを解説しますね。
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相談者
お願いします !
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弁護士
ただし、ここではざっくりと全体像を理解するだけにして、解決方法の一つ一つについては、別の機会にじっくり解説します。

親亡き後の3つのテーマ

障害のあるお子さんの親亡き後について、大きく次の3つのテーマに分けられると考えます。

  1. お金
  2. 住む場所
  3. 日常生活のサポート

まず、親が亡くなった後に、障害のある子がお金に困らないかという心配・不安をお持ちの親御さんが多いと思います。

次に、親と同居している場合、親が亡くなった後に、障害のある子がどこに住むのかという点です。

最後に、誰かのサポートがないと、身の回りのことを自分一人でなんとかできない障害のあるお子さんの場合、誰にどのようなサポートをお願いできるのかという点です。

お金について

次に、この3つのテーマ毎に、知っておきたい福祉サービスや法制度、検討すべき事柄について取り上げます。

財産を残す方法

お金に関しては、次のように、さらに4つに細分化できます。

まず、親としてできることは、少しでも障害のある子に財産を残すことです。親が子どもに財産を残す主な方法は、遺言、生前贈与、生命保険、信託の4つです。

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財産を残す4つの方法について、より詳しく知りたい方は、「【親亡き後】障害のある子に財産を残す4つの方法」をご覧ください。

また、財産を残すためには、ある程度の財産を築く必要があります。財産を残す方法の基礎知識については「障害のある我が子に財産を残すためのイロハのイ」をご覧ください。

働いて給与・工賃をもらう

次に、障害のある子自身で、なんらかの収入を得ることができたら、親御さんとしても安心でしょう。

障害者雇用や就労移行支援サービスを利用して、就職する方法があります。

一般の会社で働くことが難しい場合には、就労継続支援サービスを利用して、給料や工賃をもらうというやり方もあります。

ただし、就労継続支援の平均給与は月額約7万円で、平均工賃は月額約1万5000円です。したがって、障害年金をプラスしても、十分な収入とはいえないのが現状です。

障害年金など

そして、障害のある方の収入の中心となるのが、障害年金です。これは障害がある以上は、亡くなるまで支給される年金です。

ただし、障害があれば誰でももらえる障害基礎年金の月額の支給額は次のとおりで、障害年金だけで生活ができないのが現状です。

等級月額
1級約8万円
2級約6万円
障害基礎年金の支給月額
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障害年金をもらうための要件については、「障害年金をもらうための要件と金額」をご覧ください。

生活保護

最後に、セーフティーネットである生活保護も親御さんとしては理解しておきたい法制度です。障害年金や給与・工賃だけでは、十分な収入とはいえない現状を考えると、親亡き後には、障害のあるお子さんが生活保護を受けて生活することも十分にあり得ます。そのため、生活保護というのはどのような制度なのかを理解しておくことは大切になります。

合わせて読みたい記事

生活保護を受けるといくらもらえるかについては、「生活保護っていくらもらえるの?【親亡き後と無関係ではありません】」をご覧ください。

住む場所

2つ目のテーマは、親亡き後に障害のあるお子さんが住む場所はどこになるのかということです。

ひとり暮らし

住む場所については、ひとり暮らしなのか、誰かと同居するかで大きく違いがあります。

ひとり暮らしの場合、持ち家か賃貸かでも検討することが違います。持ち家の場合は、親御さんの自宅を障害のある子どもに残す場合がほとんどでしょう。そのため、お金のところで述べた遺言、生前贈与、信託の理解が重要になります。

賃貸の場合は、家賃などの関係で、親子で住んでいたところに住み続けることが難しい場合もあります。そのような場合には、親御さんが亡くなる前に、障害のあるお子さんが賃貸アパートなどでひとり暮らしを実現させておく方が安心です。

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障害のある方のお部屋探しとそのサポートについては「障害者のお部屋探し」をご覧ください。

障害のある方の一人暮らしのサポートについて「障害者の一人暮らしのサポート」をご覧ください。

同居

障害のあるお子さんが誰かと一緒に暮らす場合は、きょうだい・親族と一緒に暮らす場合と、グループホームなどで親族以外と暮らす場合に分けられます。

きょうだい・親族と一緒に暮らす場合は、きょうだいや親族に与える負担についてどう考えて、どうフォローするかということを検討しなければならないでしょう。

他方、グループホームなどで暮らす(共同生活支援を受ける)場合には、親が亡くなる前から入所できるグループホームを探して、独立してもらう点は、賃貸でひとり暮らしの場合と同じです。

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障害者グループホームについて詳しく知りたい方は、「障害者グループホームとは?【親がいる間に】」をご覧ください。

サポート

3つ目のテーマは、親御さんが今まで多く担っていた障害のある子のサポートを、誰が代わりにしてくれるかです。

障害のある人をサポートしてくれる人として、大きく分けて、成年後見人とヘルパーの二つに分けられます。なお、ここでは、ボランティアとして支援・サポートをしてくれる人ではなく、仕事として責任を持って、日常生活をサポートしてくれる人のみに絞っています。

成年後見人

成年後見人は、障害のある子の財産管理や、さまざまな契約の締結などを、本人の代わりに行います。したがって、財産管理や契約締結などを自分で判断して行うことが難しい障害のある人には必要な存在となります。成年後見人には、親族の他に、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職が選任されます。その場合には、原則として、障害のある人の財産から報酬が支払う必要があります。

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成年後見について詳しく知りたい方は、「成年後見とは?」をご覧ください。

ヘルパー

食事、お風呂、トイレ、外出、買い物などを一人ですることができずに、誰かのサポートが必要な障害がある場合、「障害者総合支援法」という法律を中心とする障害者福祉サービスを受けることになります。障害のある人の日常生活を実際にサポートするのが、いわゆる「ヘルパー」と呼ばれる人たちです。

おわりに

以上が、親亡き後に備えて、障害のあるお子さんを持つ親御さんが知っておいた方がよいことについての全体像です。

3つのテーマや、それぞれのテーマで挙げている障害福祉サービスや法制度について記事を今後増やしていく予定です。