直葬

朝目が覚めるのが憂鬱ということはあまりなかった。しかし、ここ何日かはそんな感じ。

母の葬儀について、父と意見交換をした。母が無神論者であること、葬儀は近親者しか参列しないと予想されること、節約の母が一般的な葬儀を行うためにプラス50万円以上かけることをよしとしないと推測できることなどから、私は通夜や告別式を省略した直葬が望ましいと考えている。父も概ね同意見だったので、とりあえず現時点ではそのように考えておくことにした。

主治医との面談

父は、今回の母のことを受け止めきれていないようなので、主治医に疑問点をぶつけたらいいのじゃないかと提案した。午前中に母を見舞った父が早速主治医に話を聞きたいと病院側に伝えたらしく、午後3時ごろ病院で話を聞くことになった。

今日は雨が降っていたので、バスで病院へ行った。検温も1回でパスした。

前回や前々回の時とは違って、主治医の態度はややつっけんどんな感じであった。父だけではなく私もいくつか質問をした。主治医の話をまとめるとだいたい次のようなものと理解した。

まだ検査結果が出ていないので母のがんは、何がんかは分かっていない。しかし、いかなるがんであったとしても、もう治療は意味をなさない。抗がん剤を投与することができるけれども、医学的適応はない。また、人工呼吸器が外れないと一時的な退院はできない。家庭で人工呼吸器は使えない。そして、沈静を解いて覚醒させることは、勧められない。

人工呼吸器を外す

医師の面談の後、母の病室を訪れた。昨日までとは違って、母の様子は苦しそうであった。また、右手をずっとくるくると動かしていた。呼びかけても全く目を開けなかった。このように少しずつ悪くなってくるのだろうと思い、あまり苦しまなければ良いのにと思った。

苦しむ母の姿を長い間見ていられないので、席をはずしてティールームに向かった。そこでしばらく過ごした後、再び病室に戻った。苦しそうにしている母が待っているだけだと思っていたら、医師や看護師が何人かで何かの処置をしていた。その処置が終わるのを廊下で待っていたところ、男性の看護師さんが話しかけてくれた。自力呼吸ができそうなので、人工呼吸器を外して様子を見るとのこと。

人工呼吸器から外されたことで、マスクを固定するヘッドギアが外されて、より小さなマスクだけになっていた。そのため、だいぶ母の顔がはっきり見えるようになった。苦しそうな様子もなく、頻繁に目を開けるようになった。ただし、目を開けていてもぼんやりとした感じで、ちゃんと見えてるかどうかまではわからない。実際に、息子の写真や動画は、昨日までのような反応は見られなかった。

人工呼吸器ではなく自力呼吸ができるようになったということは、少なくとも肺は、少し回復しているのだろうと思った。このことは、父や母の親族に伝えた。

人工呼吸器が外れないと退院できないと言われていたので、もしかしたら退院できるかもしれない。私が聞いた母の最後の望みは、退院だったのでできれば叶えてあげたい。

夕方5時ごろには病院を出て自宅に戻った。