母を見舞う

面会を減らすように病院に言われたので、昨日は父が、今日は私が母の見舞いに一人で行った。少しは話せるようになっているかと思ったけれど、今日の母は、終始ぼんやりとしていた。私が来たことも認識しているかも怪しい感じだった。たまに、母は何かを言いたそうにしていたけれど、聞き取れる言葉はなかった。特に苦しそうにしているわけでもないからよいにしても、心配にはなる。

主治医からの説明と同意書

看護師さんから主治医から説明があるというので、今日は私一人で話を聞いた。判明している胃がん、骨への転移の他に、脳の様々なところへの転移もあると知らされた。それから、肺炎と思っていたところも、炎症が引かないので肺ガンであろうと言われた。両肺の1/3以上を占める大きなものであった。

こんなに身体中にガンがあって、よくもまあ痛くないものだ。母の調子が本格的に悪くなった5月下旬以降も、父によると痛みを我慢している様子はなかったそうだ。今の母も特に痛そうにはしていないので、この点だけは救い。今後どうなるかわからないにしても。

主治医の説明によるとぺっしゃんこになっていた左の肺がだいぶ膨らんで元に戻ってきたとのこと。そこで、従前から言われていた胸腔の隙間を埋めるための治療をするかと尋ねられた。まれにアナフィラキシーショックが生じて命に関わることがあるので、治療の同意書が必要とのこと。この治療以外にすることがなく、この治療をしなくても別のリスクがあることなどの説明を受けた。この治療がうまくいったら肺の管を抜くことができて、退院や緩和ケアなどの選択肢が増えるらしい。

おそらく父も私と同じような判断をすると思うので、その場で同意書にサインをしてもよかったけれど、今すぐ決断しなくてもよいということなので、帰宅して父と相談することにして、サインは保留にした。

治療に関する意思

病室に戻ると、今までずっと動いていなかった母の左腕が少し動くようになっていた。私の手を握り返すことはできなかったものの、微かに動かすことはできていた。直前に主治医から脳の転移で左手や左足は麻痺して動かないかもしれないと言われていただけに驚いた。母も左手が動くことが嬉しかったのか、私が「左手が動くようになってよかったね。」と母に笑いかけたら、母もそれに答えて笑顔になった。

入院2日目に、一生のお願いだから家に帰りたいと母は懇願していた。今でもその気持ちが変わらないのかわからない。麻酔が抜けて覚醒した母に対して、何度か家に帰りたいかと尋ねたことがある。しかし、帰りたいとは答えない。もしかしたら、今日で最後の別れになるかもしれないから、再度尋ねてみたけれど、結果は同じであった。

午後5時には病院を後にした。

自分の意思を示すことができなくなったときに、どのような治療をしてほしいか、またはしてほしいかについて、元気なうちに話し合ってほしかった。母と父はそのような話をほとんどしておらず、推測するしかない。この推測が正しいかどうかの判断に自信がないので、決断をしなければならない家族としては困る。わからないけれど、意に反することはしたくないから。

私の場合は、次の3つがポイントかなと思っている。

  1. 痛いのは嫌
  2. 自宅に戻るとかはどっちでもいい
  3. 治療効果が望めそうな場合はリスクがあってもチャレンジする

帰宅後、妻には伝えておいた。

父と相談

帰宅後、父に主治医の説明を伝えた。案の定、父も私と同じく肺の治療をしてほしいということだった。明日の朝、病院に一報を入れて、同意書を病院に持っていくことを父に頼んだ。もしかしたら最後になるかもしれないから、同意書を病院側に渡した後、母の見舞いをしてくればいいと伝えた。